今年2月、東京の鳩山由紀夫民主党代表の個人事務所。執務室に入ると当時幹事長だった鳩山氏は10平方メートルあまりのこじんまりとしたスペースで淡々と記者を迎えてくれた。4人掛けのソファの半分には日本の未来と東アジア外交政策をテーマにした本が積み上げられていた。鳩山氏が政権交代のための戦略をどれだけ激しく深く考えているのか直感できた。この当時は日本の世論は政権交代の可能性には半信半疑だった。記者は鳩山氏になぜ政権交代しなければならないのかを尋ねた。鳩山氏は「友愛社会を建設するためだ。時代に取り残された自民党を壊し、新たな政策と新たな人物が中心となり閉塞した日本を換骨奪胎させなくてはならない」と力を込めて話した。
彼のこうした信念は祖父の鳩山一郎元首相の政治哲学から始まる。鳩山氏は「友愛は祖父一郎がフランス革命のスローガンである博愛のような意味で使った言葉だ」と話す。また友愛社会について、「究極的には国民に仕える政治を行い、国同士では平和に助け合って生きていくことを目指す」と説明した。鳩山氏は民主党代表就任演説でも「国の役割を外交・防衛、財政・金融、資源・エネルギー・環境などに限定し、国民生活に密接につながる権限・財源・人材は地方に移譲して地域の実情により決定するシステムに変革する」と述べた。