飯炊き名人「45年の味、伝授します」/日本・堺市(2)
村嶋孟さんは米飯に関するこだわりの原則主義者だ。それぞれ魚と肉などのおかずを担当している2人の息子とひとつの店で働いているが「ご飯におかずのにおいがしみつく」という理由で、飯を炊くそばにも来させないようにした。「夏の米は味が良くない」と毎年6月から8月まで3カ月間は店を閉めて長期で休暇をとる。一時有名デパートに支店を出すことを勧められたが「私の目の前でお客さんたちに出すことができるものでなければだめ」という理由で断った。
しかし、いざ米に関しては品種を選り分けない。あちこちの農家で使ってくれと言って送って来る米をたまに使ったりするが、たいてい開業時から取り引きしている精米店の主人が毎夕精米して送ってくれる米40キロをそのまま使う。「飯を炊くのは私が最高かもしれないが、米を選ぶのは米屋の主人が最高」という理由からだ。