－－資本主義を経験していないためなのか。

「北朝鮮の人が韓国の人より能力が落ちるのは明らかだ。 しかし金正日の下で主体思想を信じ、閉じ込められながら生きてきたためで、能力自体がないわけではない。 一部の脱北者によって韓国内の北朝鮮人に対するイメージが落ちた面もある。 しかし多くの北朝鮮人は純朴でありながらも強い。 チャンスさえ与えられればやり遂げる。 資本主義的な競争心理も人間本性の一部分だ。 韓国も６０・７０年代に技術を学んで発展したではないか。 北朝鮮住民が自ら立ち上がるようにした後、漸進的な統一をしなければならない」

－－北朝鮮が改革・開放をするようだが。

「北朝鮮指導部も‘切り開いてこそ生き残る’と考えている。 支配層は中国モデルを好む。 改革・開放の過程で幹部清算作業がなかったからだ。 資本主義の弊害も実感している。 すでに北朝鮮の都市民はほとんど商売をしながら暮らしている。 貧富の差が深刻だ」

－－なぜ北朝鮮を脱出したのか。

「夫が政治犯収容所に連行された後、子どもたちも家族収容所に連れていくという通報があった。 ２人の息子がまず川を渡って中国に脱出し、私も合流した」

－－夫の安否は。

「銃殺されたという話を聞いた。 政治犯収容所に行けばそれで終わるため、どんな情報も私には意味がない。 収容所を脱出したという人はみんな家族収容所にいた人たちだ」

－－韓国では政治犯収容所の実像について半信半疑の雰囲気もある。

「政治犯収容所について言えば‘自分たちが脱出した所なので誇張している’という話を聞くことがあるかもしれない。 私たちも故郷が良いところとして描写されるのはうれしいが、かといって嘘をつくことはできない。 ここに来た後、韓国社会が知らなければならないことに目を閉じようとしているのを知った。 暗い真実も真実だ」