北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長は朝鮮労働党の創党63周年記念日の10日にも姿を見せなかった。最高指導者の現場指導が政権の維持に大きな役割を果たす北朝鮮体制では極めて異例のことだ。
日本では金委員長の行動を観測する「金正日分析家」が各所で活動している。個人的に事務室を設けて金委員長関連の情報を収集し、外務省や法務省の公安担当者に提供する私設機関が並んでいる。北朝鮮と中国の国境地帯に常駐して情報収集活動を行い、後継者に挙がっている長男金正男(キム・ジョンナム)氏の動向を把握するために中国や東南アジア、欧州を回りながら同氏の動きを追跡する。
日本の情報当局は証券業界の私設情報誌(俗称・チラシ)並みの確認済みでないデマも集めて真偽の把握に活用する。米国や中国情報当局から得る情報と比較し、一致すれば北朝鮮関連政策に大きなプラスとなる。一部の金正日分析家は2000年代初めに比べ、現在の金委員長の声は大きく変わっているという点を指摘し、同氏がすでに死去したという主張までしている。これらは4、5人の「影武者」が金委員長の代役を務めていると見ている。