【コラム】2015年の文在寅代表と2019年の文在寅大統領(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.05.30 13:08
冷静に見ると、韓国版所得主導成長は正しい経済理論というよりは思想や理念に近い。解放後に韓国社会に広まった漠然とした運動圏の仮説と欧州左派の労働重視概念が混ざって所得主導成長という表札を付けたのだ。経済仮説が理念化すれば、いくら失敗してもむやみに変えることのできない偶像になってしまう。統計庁の衝撃的な1-3月期の所得統計が出てきた翌日、ある進歩新聞は社説でこう主張した。「…自由韓国党は補正予算の前に所得主導成長などの経済政策から変えるべきだと政府に要求している。政府の哲学と価値が込められた政策基調を廃棄しろというのは、政権を手放して出て行けという要求と変わらない。受け入れられない主張をしていて気の毒だ…」。所得主導成長が単純な経済政策ではなく政権の運命と結びついている思想であり理念という告白と変わらない。
まだ所得主導成長の最悪の時間は来ていない。来年1月からは50人-300人の中小企業にも週52時間勤務制が適用される。「バス大乱」程度で済む問題でない。そのためか進歩側のユ・ジョンイル韓国開発研究院(KDI)国際政策大学院長は一昨日、「所得主導成長の誤りを認めて、謝罪は早いほどよい」と提案した。多くの経済学者も経済に負担を与える現在の政策を果敢に撤回することで経済回復の最初のボタンを掛けるべきだと注文している。しかし文在寅政権は依然として財政をどう注ぎ込むかに没頭している。自らの失敗を認めずに対外環境のせいにし、政策の失敗を広報の失敗に見いだそうとする雰囲気だ。