ソウル市「日雇い労働者が入院すれば最大121万ウォン支給」…「ポピュリズム」批判も

ソウル市「日雇い労働者が入院すれば最大121万ウォン支給」…「ポピュリズム」批判も

2018年12月13日13時31分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  来年からソウルの低所得勤労者や自営業者が病気で入院治療や健康診断を受ける場合、一日8万1184ウォン(約8200円)の生活費が最大15日まで支給される。ソウル市はこうした内容の「ソウル型有給病気休暇制」を導入する方針だと12日、明らかにした。このためソウル市は41億ウォンを来年度の予算案に編成し、市議会予算決算委員会の審議を経て14日の本会議で確定する予定だ。病気になったりけがをしたりしても有給休暇がないために休めない低所得勤労者や自営業者の所得を支援する。国内で初めての導入となる。しかし健康保険の財政ではなく地方自治体の税金でこうした制度を導入するのをめぐり「ばらまき福祉」「低所得会社員差別」などという批判が出ている。

  対象者はソウルの健康保険地域加入者のうち中位所得100%以下の勤労所得者(日雇い、インターンなど)と自営業者。これに該当する9万7398人(2016年基準)のうち入院した1万4610人が恩恵を受けると推定される。一日に8万1184ウォン、最大15日で121万7760ウォンを受ける。導入時期は来年3月以降。5日ずつ入院すると仮定する場合、ソウル市は毎年およそ60億ウォンを生活費として支給することになる。支援対象は段階的に拡大する予定だ。

  ソウル型有給病気休暇は疾病手当または傷病手当と呼ばれて主に欧州福祉国で導入されている。租税で社会保障制度を運営する英国・スウェーデンなどの国は租税で傷病手当を支給する。しかし韓国のように社会保険(健康保険・雇用保険など)を運営するドイツ・フランス・オランダなどは社会保険で運営している。地方自治体が独自の財政で施行する国はほとんど見られない。

  ソウル市のナ・ペクチュ市民健康局長は「健康保険や労災保険がカバーできない死角地帯が病気による所得の喪失」とし「特に有給休暇がない労働者層(自営業者含む)に所得減少による被害が集中していて、最小限の社会保障を用意しようということ」と説明した。この制度は12日、社会保障基本法に基づき保健福祉部の承認を受けた。

  評価は分かれる。シン・ドンミョン慶煕大行政学科教授は「韓国が福祉国家に進むために従来の医療サービスにない傷病手当を地方自治体が先制的に導入するのは大きな意味のある進展」とし「今後、ほかの地方自治体がベンチマーキングして中央政府レベルで施行することを期待する」と述べた。

  健康保険公団の関係者は「経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち傷病手当がない国はあまりないが、ソウル市が導入することで中央政府を刺激する効果があるだろう」とし「健康保険の職場加入者のうち有給休暇を使えない低所得勤労者が少なくないが、ソウル市の制度はこの人たちを差別することになる」と話した。

  財源などの妥当性に対する懸念の声もある。ソウル市議会のキム・ソヤン議員は「ソウル市が有給病気休暇制を100%税金で運営することにして健康保険の職場加入者を対象から除外したのは明らかに逆差別」とし「朴元淳(パク・ウォンスン)市長が大統領選挙に出るためのばらまき福祉であり、典型的なポピュリズム」と批判した。

  韓国保健社会研究院のシン・ヨンソク博士は「傷病手当は中央政府が一定基準を定めて健康保険などの社会保険財政で導入すべきだが、地方自治体の1カ所が始めれば地域事業に変質し、地域の格差を誘発する」と懸念を表した。

  ヤン・。ジェジン延世大行政学科教授は「地域加入者は所得が正確に表れず、実際よりも生活はよいケースもある」とし「入院生活費を支援することになれば入院が増える副作用が生じてしまう。スウェーデンのような国がそのために基準を強化した」と指摘した。

  チェ・ビョンデ漢陽大行政学科教授は「現金福祉は一度施行すれば減らすのが難しく、ずっと拡大していく。いまは40億-60億ウォンでも、対象者が増えれば深刻な財政負担につながるはず」と述べた。
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