米国と中国の覇権競争が全方向に拡散しながら韓半島（朝鮮半島）に荒波が打ち寄せている。中国の「一帯一路（Ｏｎｅ　ｂｅｌｔ　Ｏｎｅ　ｒｏａｄ）」戦略に米国はインド太平洋戦略で対抗しながらアジア太平洋が波打っている。専門家は米中の覇権争いが長期化すれば、中間に挟まった韓国が最大の被害を受けるだろうと懸念している。中国の考えを知るために、新中国建国７０周年（１０月１日）を契機に邱国洪・駐韓中国大使（６２）に単独インタビューを行った。職業外交官出身だが「外交的修辞（レトリック）はあまり好きではない」としながら比較的ストレートに答えてくれた。

－－「２つの１００年（中国共産党創党１００年の２０２１年、新中国建国１００年の２０４９年）」というマイルストーンを前面に出した中国は究極的にどのような国を追求するのか。

「中国はまだ開発途上国だ。発展がまだ充分ではなく、不均衡な発展の矛盾が目立つ。今後、相当長い時間の中で最も重要なことが発展だ。２つの百年目標を実現するために努力し、中国を富強・民主・文明・調和の社会主義現代化国家にしていく」

－－周辺国外交政策で、親・誠・恵・容を標ぼうしているが、咄咄逼人（気勢が激しく迫る様子）という表現のような強硬な態度のせいで「中国威嚇論」が繰り返し提起されている。

「親・誠・恵・容の外交理念、隣国と仲良くして（与隣為善）、隣国をパートナーとする（以隣為伴）という外交方針によって周辺国の関係を発展させてきた。絶対多数の国々と良い関係を維持している。中国威嚇論があるが、これは主流ではない。中韓両国国民は『自分がしてほしくないと思うことを他人にするな（已所不欲、勿施于人）』という孔子の名言をよく知っている。中国は当然、自身の正当な権益を守るだろうが、他国の利益を犠牲にする対価として発展を図ることはない」

－－米中貿易戦争は韓国と中国だけでなく、世界経済にも大きな打撃を与えている。

「そうだ。中国も韓国も被害者だ。今回の貿易戦争は完全に米国が一方的に挑発した。すでに１２回の高官交渉を行って大きな進展を収め、大部分の争点で合意に達した。しかし、米国は無断で合意を破ってあれをしたりこれをしたり（出爾反爾）する。中国の主権と尊厳を侵害して中国が根本的に受け入れることはできない要求をして貿易戦争を高める。米国の真の意図が何か、疑わざるをえなくさせている。本当に米国が単純に貿易問題を解決する考えなのか、それとも別の腹積もりがあるのか疑われる」

－－米中貿易戦争は全員が負ける「ｌｏｓｅ－ｌｏｓｅ」ゲームだという批判がある。

「貿易戦争には勝者がいない。中国も当然、損失を被る可能性があり、米国も同じだ。貿易戦争はグローバル経済に否定的な影響を与えている。中国は貿易戦争を望まないが、（絶対に戦わなければならないと思ったら）戦いを恐れない。中国は談判の扉をずっと開いたままにしている。貿易葛藤に対応する中国の根本対策は、自分のことうまく処理し、揺らぐことなく改革を深化させて開放を拡大することだ」

－－中国の一帯一路戦略に対抗して米国はインド太平洋戦略を推進中だ。

「一帯一路は国際経済協力の提案だ。インフラ建設を主として全方向から互いにつながり合い、世界の経済成長のための新たな動力を探して国際経済協力の新しいプラットホームを作ることが核心だ。今年８月末まで、中国は１３６カ国および３０カ所の国際組織と１９５件の政府間合作に署名した。ところが米国のいうインド太平洋戦略は本質上軍事戦略だ。一帯一路とは性質が完全に違う。米国のインド太平洋戦略はあきらかに中国を狙っている面があり、中国は反対している」

－－中国は１９９２年８月２４日の韓国との修交当時の初心をしっかり守っているか。

「修交して２７年間、両国関係は２１世紀協力パートナー関係、全面的協力パートナー関係、戦略的協力パートナー関係で『三段跳び』ジャンプをした。今は共同発展の実現、地域平和、アジア振興、世界繁栄という『４つのパートナー』を実現するために共に協力している。両国は国際舞台でも協力して互いの長所をうまく生かしている。隣人との間でも家族内部でもさまざまな矛盾がある。両国も異見が出てくることを避けることはできない。中国は韓国と手を取り合い、さらに美しい未来をつくっていかなければならない」




駐韓中国大使「韓中ともに貿易戦争の被害者…中米争い、怖くない」（２）