我が国は妊娠中絶問題においては先進国になれるどころではない。1年に新生児数の78%にのぼるお腹の中の生命が、世の中の光を見ずして命を失う。地球上で不法妊娠中絶が多く行われる国のうちのひとつでもある。外国メディアが妊娠中絶問題を扱うとき“不法妊娠中絶天国”というほどだ。
国民所得2万ドルを超えて先進国を目の前にする私たちのまた別の姿だ。妊娠中絶天国という汚名は、急速な産業化の副産物でもある。圧縮成長の陰で育った道徳的な緩みは性の開放と生命の軽視の風潮を生んだ。家庭や学校で正しい性教育を受けることができなかった青少年たちは、性行為をストレス解消程度に考えている。