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「父親」になったホン・サンス監督の姿が見える…キム・ミニとともに受賞した映画『目のやり場がない』(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版 2026.10.27 13:56 Googleで中央日報を読み逃さない
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母親にとっても、サンヒは扱いの難しい娘だ。高い学費をかけて美術留学させたものの、お金にならない実験映画にのめり込んでいる。純粋で融通の利かない長女は思いどおりにならないが、それでも何かと気にかかる。自分に似て計算の早い次男(シン・ソクホ)とは違い、サンヒは、母親がかつて心を奪われながらも、結局は破局に終わった昔の恋愛を思い起こさせる存在なのかもしれない。

ラストを飾るサンヒの短編映画では、彼女が淡々と映し出した道端のタンポポに、次のような告白が重なる。「私は穏やかだ。私は静かだ。私はいつも何かを好きでいる」。こうした物事をじっと見つめる姿勢が、なかなか親しくなれそうにないため「あの人」と呼んでいた継父(ドキュメンタリー監督)と、サンヒが思いがけず心を通わせるきっかけになる。

 
映画全体の縮図のように、ナレーションや描写の手法まで似ているこの劇中映画は、『目のやり場がない』そのものが、サンヒの撮影したもう一つの映画なのではないかという考えも抱かせる。劇中で唯一、サンヒの短編映画を2度にわたって注意深く見る母親の視線を強調した場面も、だからこそ意味深い。もしかすると、映画の冒頭から日記を読むように聞こえてくるサンヒの心の声を、実は母親がすべて見通していたのではないだろうか。娘サンヒの一人称視点で描かれた映画でありながら、画面には映らない親の思いが、より強く胸に迫る理由だ。

米映画誌「スラント・マガジン」は「家族間の和解の可能性を示す、ホン・サンス監督のフィルモグラフィーの中で最も楽観的な映画」として注目した。俳優クォン・ヘヒョは今月10日、この映画で訪れた釜山(プサン)国際映画祭で、今回の映画で13作目の仕事をともにしたホン・サンス監督について、「ある女性を愛し、好きだった男から、誰かの父親へと少しずつ変わっていく姿が見えた」と語った。

「何を好きになるかは、あらかじめ分からない」というサンヒの芸術観は、映画『今は正しくあの時は間違い』などで、つかの間の心のときめきを肯定してきたホン・サンス監督の作品観とも通じる。ロカルノ国際映画祭の観客との対話で、ホン監督は「人生は興味深く、(使い古された)ストーリーは退屈だ。自分の目の前で実際に起こる小さな出来事が作品になることもある。そうした感覚が強く働き、映画を作ることにつながっている」と、自身の演出観を明らかにした。

『目のやり場がない』はロカルノ国際映画祭を皮切りに、ニューヨーク映画祭、ハンブルク映画祭、バンクーバー国際映画祭、釜山国際映画祭に加え、『暗殺者(たち)』がオープニング作品に選ばれたシンガポール国際映画祭にも招待された。ホン・サンス監督のフィルモグラフィーの中でも、注目すべき小品だというのが大方の評価だ。英国の映画業界紙「スクリーン・デイリー」は「ホン・サンス作品としても演出が非常に簡潔だ」としながら、「ホン・サンスのファン以外の観客を引きつけるのは難しいかもしれない」と評価した。

「父親」になったホン・サンス監督の姿が見える…キム・ミニとともに受賞した映画『目のやり場がない』(1)

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    映画『目のやり場がない』で、再婚相手と朝の散歩に出かけた母親は、前夫との間に生まれた娘サンヒと次男サンウォンに出くわす。[写真 映画製作チョンウォンサ、コンテンツパンダ]
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