【中央時評】文在寅政権の北朝鮮非核化はなぜ失敗したのか
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2024.06.19 15:20
過去を正確に評価してこそ未来の道を探すことができる。こうした面で最近出版された文在寅(ムン・ジェイン)大統領の回顧録は意味がある。前大統領が自ら北朝鮮非核化関連の内容を詳細に明らかにしているからだ。しかし結論的に大統領の知識と判断力の不足が失敗の主な理由であることを確認した。北朝鮮の非核化をめぐる複雑な構造と変化の激しい地政学を理解できなかったのが問題の根本だ。
大統領は金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の言葉だけを信じて、構造を見ることができなかった。金正恩委員長と対話して米朝会談を斡旋することにすべての関心を傾けただけで、非核化合意が可能な条件をつくる考えはしなかった。回顧録の複数の部分に見られるように、北朝鮮を交渉に導いた最も重要な力は2016-17年に発効した経済制裁だった。なら、これを強化して北朝鮮の核の価値を落としてこそ交渉妥結が可能だった。成功の可能性はあった。2017年下半期の制裁の強度が維持されたとすれば、2019年ごろには完全な非核化を目標に部分的な非核化と一部の制裁解除の開始も可能だった。しかし大統領は金正恩委員長をあまりにも早く交渉に呼び出した。2018年4月に板門店(パンムンジョム)会談が開かれた。また、非核化交渉の過程で制裁という友軍をむしろ制約条件と見なし、結果的に核の価値を引き上げた。ハノイ会談の失敗を予見していれば韓国が先制的に制裁を解除していたという遺憾まで吐露した。