今年のＣＥＳには東アジアのテック企業が迎えている地政学的変数と技術競争がそのまま現れた。韓日中台いずれも人工知能（ＡＩ）に集中するが、米中技術覇権戦争と半導体情勢などで立てた戦略はまちまちだ。韓国は透明テレビなど新技術で先端を指向し、日本は既存の強さに感性・技術を加え、中国は韓日を模倣する一方で米国の規制には迂回戦略を広げた。

◇韓国、先端はわれわれのもの

韓国はＣＥＳの量と質の責任を負う主要走者としての位置付けを確立した。今年は前年比４２％増えた７８１社が参加した。

サムスン電子とＬＧエレクトロニクスは先端ＡＩ新製品を発表して技術力を誇示した。サムスン電子がボーリー、ＬＧエレクトロニクスがスマートホームＡＩエージェントとして公開したＡＩ基盤のアシスタントロボットは自動運転技術が適用され、自分の判断で家電を制御し家の仕事の手伝いをする。テレビではＡＩ性能強化が目立った。サムスン電子は「ＮＱ８ＡＩ第３世代プロセッサ」を、ＬＧエレクトロニクスは「アルファ１１プロセッサ」をベースにＡＩによる画質と音質の補正機能をそれぞれ公開した。サムスン電子はカメラで食材を自動管理する「ＡＩビジョンインサイド」機能がある冷蔵庫、服地の材質や汚れの度合いを感知して洗濯から乾燥まで処理する「ＡＩオーダーメードコース」機能がある洗濯機も披露した。ＳＫハイニックスはメモリー半導体市場で最も注目される高帯域幅メモリー（ＨＢＭ）の現存最高性能製品であるＨＢＭ３Ｅを今回のＣＥＳに展示した。

◇日本、強み生かして感性加え

今年ＣＥＳに参加した日本企業は７３社で、中国の１１１５社や韓国の７８１社とは格差が大きい。日本が家電の代名詞である時代も過ぎた。しかし日本は既存の産業の底力を十分に活用し、特有の感性・デザインを加えた。

ソニーのブース入口には車両用安全センサーシステムが展示された。カメラセンサーが車両外部の四方だけでなく、車内の搭乗者の骨格を感知して正常に操縦されているか、カーシートの中の子どもは安全なのかなどをリアルタイムで探知する。世界のカメライメージセンサー市場で５９％のシェアで１位の技術力を十分に活用したものだ。多量の映画・ゲームコンテンツを保有する強みも生かした。ハプティクスとモーションキャプチャ機能を活用した没入型テーマパーク体験にはソニーピクチャーズが制作した映画『ゴーストバスターズ』のキャラクターが登場し、ソニーとホンダの合作電気自動車「アフィーラ」の中ではソニーのゲームを楽しむことができる。

テスラの電気自動車バッテリーパートナーであるパナソニックはブース内に透明な自動車の模型を置いて自社の充電技術を展示した。家電部門ではダイソンよりモダンなヘアドライヤー、ｉＰｏｄより美しいシェーバーなど日本特有のデザインと感性を取り入れた製品で注目された。

◇中国、迂回して追撃する

世界最大のドローンメーカーＤＪＩやファーウェイなど中国のビッグテックは米国政府の規制対象企業でＣＥＳへの参加が不可能だ。しかし今年のＣＥＳには「中国のシリコンバレー」と呼ばれる広東省深圳所在のスタートアップを中心に、１１１５社の中国企業がＣＥＳに参加し人海戦術を思わせた。ＴＣＬとレノボのような中国大手家電企業は米国支社を、アリババはシンガポール支社を活用して「国籍ロンダリング」をしＣＥＳに参加した。

＜ＣＥＳ２０２４＞韓国は「先端」、日本は「感性」、中国は「物量攻勢」…韓日中テック戦争（２）