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【時論】独島を「紛争地域」にしてしまった韓国軍の教材

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2024.01.05 15:07
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韓国国防部が最近5年ぶりに改正発刊した軍将兵用精神戦力教育基本教材を作る過程で呆れるようなミスを犯した。まるで独島(トクド、日本名・竹島)が領土紛争地域であるかのように誤解してしまう表現で記述したのは大きな問題だ。「独島は歴史的・地理的・国際法的にも明白な大韓民国固有の領土であり、独島に対する領土紛争そのものが存在しない」というのが政府の公式立場だ。ついに尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が申源湜(シン・ウォンシク)国防部長官を叱責し、教材をすべて回収した。

そのうえ教材に韓半島(朝鮮半島)の地図が数回登場するというのに、国防部が独島を表示しなかった点も非常に驚く。公職者は歴史葛藤を含む領土と歴史教科書問題は常に緊張感を持って業務に臨むべきだが、なぜこのような現象が起きたのだろうか。

 
まず、関連部門の専門性と政策対応能力が不足しているためだ。教材制作作業は非常に難しい過程だ。教材を作る過程、検討・検収する過程で十分な時間を設けて歴史と独島関連専門家の協力をあおぐ必要がある。ところが今回は問題を予防できるシステムが十分に整っていなかった。

教材の発刊は執筆-監修-諮問の過程を経る。今回の教材は執筆陣10人全員が現役軍人と国防部の公務員および軍務員だった。反面、2019年教材執筆陣は国防大学の教授1人と民間人の教授2人だった。2019年教材監修時は民間大学の教授5人およびジャーナリスト2人で構成し、軍ではなく民間の見解が反映されたが今回は半分が軍関連者だった。

外部専門家の諮問が充分ではなかったことになる。

過去のように国防部北東アジア担当官や関連専門家が協業して政策的ミスを事前にチェックするシステムを稼動していたなら今回の問題は十分に予防できたはずだ。しかし、いつからかこのようなシステムがなくなり穴ができた。文在寅(ムン・ジェイン)政府時期を含めて過去6年間このような問題はないがしろにされ、政府のすべての部署で同じようなミスが生じやすい構造になっている。

李明博(イ・ミョンバク)政府時期はおおむねしっかりと対応していた。どのようにして可能だったのだろうか。当時、総理室に「領土対策団会議」が設置されていて、そこで関連の問題を扱い、東北アジア歴史財団がコントロールタワーの役割を果たしていた。当時は関連機関の業務協力と交流が円滑だったおかげで歴史問題や独島問題、中国の「東北工程」歴史挑発問題を体系的に研究して適正な時期に対応することができた。ところである瞬間から独島や歴史問題に対する政策的準備と研究が粗雑になった。今はコントロールタワーがほぼ有名無実化して緊張感のない状況が続いていた中で、今回のような予告された惨事が発生した。今回だけが例外ではなく、今後類似の事例が起きそうで心配だ。独島や歴史のような敏感な問題を扱うためには経験と実力のある専門家が必要だ。歴史と領土関連の問題は東北アジア歴史財団が存在する目的であり理由だ。したがってこの機関を通じて徹底した政策対応が行われなければならない。しかしある時期から財団は研究サービスだけを行う歴史関連機関に転落したと指摘されている。機関の正常化が急務だ。そのようにするには財団の運営と研究をよく知る専門家を重用しなければならない。

ミスを予防するには2つのことが必要だ。まず、東北アジア歴史財団がもともと持つ機能を回復しなければならない。これまで東北アジア歴史財団は国家政策のいい加減な遂行で機関長の意志と好みを反映した機関運営に重点を置くと批判されてきた。研究陣を適材適所に配置して研究の品質を向上する努力をないがしろにしてきた。新しい研究者を補充する過程で特定分野中心の研究者を選んだせいで、財団が国家の政策を遂行するにあたり不均衡を招いたという不満もあった。特定の懸案に集中したところ領土関連の研究が縮小されて水準の高い研究や国際的ネットワークの構築が難しくなった。

歴史・領土関連の対策会議や関連機関の合同会議を復活させて今回のような問題を予防しなければならない。その過程で東北アジア歴史財団はコントロールタワー役を担い、関連機関が相互協力して政策の遂行ができるようにしなければならない。このようにすれば各部署が生産する歴史・領土関連資料はミスを減らすことができ、政府政策は一貫性を持って推進することができるはずだ。

イ・ジョングク/前韓国国際政治学会副会長

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