イスラエル国防軍（ＩＤＦ）が２０日（現地時間）、カザ地区北部のインドネシア病院一帯を空襲した後に包囲した。また、イスラム寺院でハマスの武器製造工場を発見したと発表して「宗教をテロに利用している」とハマスを非難した。一方、米国のバイデン大統領は人質解放交渉が合意に近づいていると信じているとし、一時的交戦中止が迫っていることを示唆した。

ＡＰ通信・ＢＢＣ放送などによると、この日ガザ地区北部ベイト・ラヒアにあるインドネシア病院一帯をイスラエル国防軍が空襲し、その後病院周辺に戦車と装甲車数十台を配置した。現地医療陣はイスラエル国防軍が病院付近で作戦を実行していて銃撃の音が聞こえると伝えた。

ハマス側はこの過程で負傷患者など１２人が死亡して、患者２００人が国際赤十字委員会（ＩＣＲＣ）の助けを借りて南部カーンユニスにある病院に避難したと明らかにした。ハマス側によると、インドネシア病院には患者６００人、医療スタッフ２００人と避難民２０００人がいた。この病院は２０１１年にインドネシアのイスラム団体の財政支援を受けて建てられたもので、現在インドネシアのボランティア団体「医療緊急救助委員会（ＭＥＲ－Ｃ）」が運営している。

イスラエル国防軍は「病院内部にいるテロリストが病院の外で作戦中の我が軍に対して夜間銃撃を加えた」としながら「これに対応して特定射撃源を直接狙った。病院に対して砲弾を発射していない」と主張した。これに先立ち、今月初めにイスラエル国防軍はインドネシア病院の地下にハマスのトンネルがあるという情報を入手したと明らかにした。

アルシファ病院に続く病院の攻撃に世界保健機関（ＷＨＯ）はイスラエル国防軍を非難した。テドロス事務局長はソーシャルメディア（ＳＮＳ）のＸ（旧ツイッター）を通じて「インドネシア病院に対する攻撃にＷＨＯは驚いた」とし「医療従事者と民間人が特に病院内部でそのような恐怖にさらされてはいけない」と呼びかけた。

一方、医療機能が麻痺（まひ）したアルシファ病院で治療を受けていた未熟児２８人はこの日エジプトの病院に安全に到着した。これに先立ってアルシファ病院の医療スタッフはイスラエル国防軍の急襲と燃料不足でインキュベーターが作動しないためベッドの上にアルミニウムホイルや毛布などで未熟児を保護し、国連などの助けを借りてエジプトに移動させた。

ハマスが民間人を「人間の盾」としているという主張を立証しようと努力中のイスラエル国防軍はこの日イスラム寺院の中に隠されたハマス武器製造工場を発見したと発表した。イスラエル国防軍の首席報道官であるハガリ少将は「ガザシティのザイトゥーン付近にあるモスクが（ハマスの）武器製造施設として利用されていたことを確認した」としながら「トンネルを突き止めて階段に降りていくと地下室が出てきたが、そこはロケットを作る作業室だった」と説明した。続いて「彼らはイスラム教とイスラム教の象徴をテロの創造に利用した」と主張した。

◇バイデン氏「人質交渉の合意が近いと信じている」

一方、イスラエルとハマスが協議中の人質解放のための交戦中止交渉が近く合意に至るだろうとの見方が相次いで出ている。この日、バイデン大統領はホワイトハウスの行事で人質を解放するための合意が迫っているかという記者団の質問に「私はそのように信じている」と答えた。

国家安全保障会議（ＮＳＣ）のカービー戦略広報調整官も「我々が（人質解放の合意に）徐々に近づいていると信じている」とし「これほど（合意に）近付いたときはなかった」と話した。これに先立ち、ワシントン・ポスト（ＷＰ）はイスラエル・米国がハマスと５日間交戦を中止する代わりに人質２４０人余りのうち５０人ほどを釈放する合意に近づいたと報じた。

テレグラフによると、ハマス側の人質解放交渉はガザ地区最高指導者であるヤヒヤ・シンワル氏が主導している。シンワル氏が交渉を仲裁しているカタールの要人とやり取りしていると伝えられた。シンワル氏は先月７日のイスラエル南部奇襲攻撃を主導してイスラエル国防軍が「除去１順位」とみなしている重要人物だ。イスラエルのネタニヤフ首相はシンワル氏のことを「歩く死者（ｄｅａｄ　ｍａｎ　ｗａｌｋｉｎｇ）」と呼んでいる。

一方、ガザ地区の戦後統治方式について活発に議論が進められている中で、欧州連合（ＥＵ）のボレル外交安全保障上級代表はパレスチナを独立国家と認めてイスラエルと平和に共存するようにする構想「二国家解決」に対する支持を表明した。ボレル氏はこの日、ＥＵ２７カ国外相とのテレビ会議で「パレスチナの国家建設がイスラエルの安全保障のための最善の保障」と強調した。