【ビズコラム】福島汚染水の国際裁判とWTO勝訴は違う
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.07.03 13:57
福島汚染水の放出が秒読みに入った。学習効果のためか、法学者の専用語だった国際海洋法裁判所(ITLOS)と暫定措置、世界貿易機関(WTO)という用語にはもう慣れている。しかし用語への慣れとは違い、時には誤謬と誤訳が事実のように広まったりもする。国連海洋法条約(UNCLOS)に基づく提訴とWTO水産物輸入禁止をめぐる論議が代表的な例だ。
まず、日本の汚染水放出を阻止するためにITLOSに提訴すべきという主張だ。UNCLOSが付与した環境保護と周辺国との協力義務違反を問いただす手続きだ。しかし韓国が訴訟を提起すれば裁判はITLOSでなく仲裁裁判所が担当する。条約は当事国に海洋紛争を扱う裁判所を選択できるようにしていて、選択しなければ仲裁裁判所に自動的に回付される。ところが仲裁裁判所の裁判官の構成には時間がかかる。最終判決の前に日本の行動を阻止する必要があり、この時に言及されるのが暫定措置だ。暫定措置を判断する裁判所は関係国が2週以内に合意しなければならない。合意しなければITLOSが暫定措置を判断する。ITLOSが介入するのはこの時だけだ。しかし提訴や暫定措置請求が手続き的に可能なものと、実際の訴の請求は全く異なるレベルで検討されなければならない。感情に振り回されて提訴を急ぐより、利益に対する慎重な検討が先行しなければいけない。