【コラム】「韓国ヌリ号の衛星、衝突リスク高い…狭い550キロ地球軌道」(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.06.13 11:27
人工宇宙物体は今後、急速に増える見込みだ。米国やロシアなど伝統宇宙強国のほか、韓国、アラブ首長国連邦(UAE)、イスラエルなど中小国家も宇宙探査競争に加わっているうえ、地球軌道を回る人工衛星が小型化する傾向であるからだ。このため宇宙ゴミの脅威にとどまらず人工衛星間の衝突事例までが生じている。2009年には米国の550キロ級通信衛星イリジウム33とロシアの軍事衛星コスモス2251が宇宙軌道の790キロ上空で衝突した。当時の衝突事故で発生した1800余りの大小の破片は今でも地球の周囲を飛んでいる。このほか捨てられたロケットや小型人工衛星の部品間の衝突事故が起きている。衛星間の衝突危機を迎えたケースはさらに多い。2021年12月には中国宇宙ステーションがスペースXのスターリンク衛星と衝突直前だったが、回避機動をしてかろうじて事故を防いだ。2019年にもスペースXのスターリンク衛星が欧州宇宙機関(ESA)の地球観測衛星アイオロスと衝突する危機があった。
衛星間または衛星と宇宙ゴミ間の衝突リスクを早くから予想した科学者がいる。米航空宇宙局(NASA)のドナルド・ケスラー博士だ。ケスラー博士は1978年、地球を回る人工衛星が衝突を繰り返し、土星の環のように破損した人工衛星の残骸が地球を囲む日が来るだろうと警告した。この場合、人類が地球の外に進出するどころか、人工衛星を利用するすべての技術が中断され、衛星利用測位システム(GPS)、衛星通信などの現代技術の大部分が使えなくなり、人類文明が1960年代中後半に後退すると主張した。いわゆる「ケスラーシンドローム」だ。