バイデン米政府が自国企業の対中国投資規制に関する行政命令対象に中国の先端半導体と人工知能（ＡＩ）、量子コンピュータ分野を含める予定だと米政治メディア「ポリティコ」が１９日（現地時間）、報じた。この行政命令は民間企業が中国に自由に投資することを妨げる前例のない措置で、米国が同盟国にも同様の措置を取ることを要求する可能性があり、中国に投資している韓国企業にも波紋が予想される。

ポリティコによると、米政府は今月末に発表する対中国投資規制行政命令を前に、米商工会議所など民間産業団体にその概要を知らせる説明会を始めた。民間企業・資本が中国の先端半導体・ＡＩ・量子コンピュータ関連企業への投資を禁止し、このような企業に新規投資をするには米政府に報告しなければならないというのが骨子だ。

米国政府は２０２０年と２０２１年の２回にわたり「国家安保を脅かす」という理由から中国の防衛産業・監視技術業者に限り、株式売買などの投資を禁止した。しかし、先端技術分野全般にわたり民間投資を禁止するのは初めてで、対象品目と規模から見て過去最大となる見通しだ。

米政府は当初、半導体、ＡＩ、量子コンピュータ、生命工学、クリーンエネルギーの５つの分野に対する包括的規制を検討していたが、最終的に生命工学と清浄エネルギーは対象から除外する可能性が高いとポリティコは伝えた。

民間投資規制はトランプ政権でも推進されたが実行されず、バイデン政権内でも意見が割れたという。行政命令の発表が先月に予定されていたが、今月末に延期となった理由だ。

ポリティコは「最近、バイデン政権の経済・外交・安保関連当局者がいずれも中国に対して同じ立場を示している」とし、「中国経済の急所を狙った措置を持続的に準備中だ」と報じた。また、この行政命令に続き、中国内の米国企業に対して政府の広範囲な監督を実施し、中国製品に対する高比率の関税賦課措置を一層強化する案などを検討中だと伝えた。中国が２０２０年１月、トランプ元大統領と１段階米・中貿易合意を結び、米製品とサービス輸入規模を拡大することにしたが、約束が守られなかったというのが、関税を引き上げようとする理由だ。

米国はこれに先立ち、中国の先端技術での成長を防ぐための様々な規制を発表してきた。米国に投資して補助金を受ける代わりに中国に投資できないという条項をつけたインフレ抑制法（ＩＲＡ）と半導体法（ＣＨＩＰＳ　Ａｃｔ）、米国製最先端半導体技術・装備の対中輸出規制、中国製通信装備などに対する輸入規制などだ。米政府がこのような法案を出して同盟にも参加への圧力をかけてきたため、今回の行政命令も同盟国やパートナー国家に大きな影響を及ぼすものと見られる。

バイデン大統領はこの日、メリーランド州の労組教育機関を訪問して「企業が米国に投資している」と述べ、製造業の復活が自身の経済成果だと強調した。フィナンシャルタイムズによると、昨年の米半導体産業などへの投資は２０００億ドル（約２６兆８３２０億円）で、前年に比べて倍増した。