厳しい中国当局の規制に身をすくめていたビッグテック企業アリババが分割という会心のカードを投げた。６つの企業に分割し個別に上場まで推進するという戦略だ。中国政府がＩＴ企業規制を緩和したシグナルという評価が出ており、アリババの株価は１日で１０％以上値を上げた。中国ＩＴ企業の同様の分割も相次ぐ見通しだ。

アリババの張勇最高経営責任者（ＣＥＯ）が２８日に全従業員向けの書簡で発表したところによると、アリババは１社の持ち株会社と６社の主要ビジネスグループ、小規模の企業に分かれ、主要６グループは理事会を構成して別途経営に入る。総括戦略管理は張ＣＥＯが務める。１９９９年の会社創立から２４年ぶりの最大規模の組織改編だ。

６つのグループは▽タオバオ・Ｔモール（電子商取引）▽クラウドインテリジェント（ＡＩ、クラウド）▽本地生活（配達プラットフォーム）▽菜鳥（スマート物流）▽グローバルデジタルコマースグループ（Ｂ２Ｂ）▽デジタルメディアエンターテインメントグループ（アリピクチャースなど）だ。

今回の発表は特に馬雲（ジャック・マー）アリババ創業者が中国内に姿を表わしてから１日ぶりに出てきた。２０２０年１０月に中国の金融当局を批判する演説後に公の席から姿を消しグループ支配力を喪失した馬氏が最近中国国内で目撃され、アリババと中国当局間にある種の交感があるのではないかとの観測が出ていた。英フィナンシャル・タイムズは消息筋の話として「アリババが公開発表前にこうした構造調整計画を中国規制当局に提示して肯定的なフィードバックを受けた」と伝えた。

中国経済メディアの財新によると、今回の決定は一次的に内部的な企業競争力下落を受けた突破口だ。中国の全電子商取引の３分の２以上を占めてきたタオバオとＴモールは中国の経済成長鈍化もあり昨年１０－１２月期の売上額が前年比１％以上減少した。アリババクラウドの場合、毎年３桁の成長から３％台まで急落した。一時９０００億ドルまで増えたアリババの時価総額は２２００億ドル水準まで落ち込んだ状態だ。

広範囲な分野を個別の企業で分割して各企業の価値評価も高められるようになった。さらには個別上場も可能になる見通しだ。張ＣＥＯは「個別企業で準備ができた時に独自の企業公開を推進できる」と明らかにした。分割した企業は香港など証券市場上場を通じて資金を確保し事業拡張に出る可能性が高い。

こうした評価に押され２９日午前に香港証券市場でアリババの株価は最大１６％まで上昇した。前日のニューヨーク証券市場でも１４．２６％急騰した９８．４ドルで取引を終えた。ブルームバーグは「アリババが市場価値を３００億ドル以上引き上げた。アリババが歴史上最も大きな改編によりビッグテックを不信に思う政府と当局の規制で衝撃を受けた投資家の両方をなだめるのに成功した」と評価した。