２０１８年から３年６カ月間にわたり駐インド韓国大使を務めた当時、インドのモディ首相の外交策士、ジャイシャンカル外相と食事しながら対話することがあった。当時、彼は外務首席次官から退いた後、インド最大財閥タタ（ＴＡＴＡ）グループの対外担当社長だった。

彼は次官時代の２０１５年５月にモディ首相に随行して韓国を訪問した経験について話した。２００７年に故郷グジャラート州の首相として初めて訪韓して以降、韓国に夢中だったモディ首相は、韓国訪問に大きな期待を抱いていたという。さまざまな協力案を持って行ったが、結果に失望していたという。韓国から特別な反応がなかったからだ。ジャイシャンカル外相は「韓国は一言でいうと非常に忙しい国だった」と語った。

モディ首相がグジャラート州首相時代（２００１－２０１４）から公開的に話してきたことが「韓国から学ぶ」だ。モディ首相は人口や面積の面でグジャラート州と似た韓国がどのように世界的な経済強国になったのかに常にも関心を持っていた。２０１４年に連邦首相となった後も韓国がインドの発展モデルという信念を隠さなかった。そこで出てきたのが「メーク・イン・インディア」（Ｍａｋｅ　ｉｎ　Ｉｎｄｅａ）政策だ。強力な製造業育成政策であり、ロールモデルは韓国だ。

◆「インドを偉大な国にしたい」

モディ首相は２０１８年初め、韓国財界代表団がインドを訪問した当時、「インドは民主主義、若い人口構造（６５％が３５歳未満）、巨大な市場という３つの強みを持つ」と説明し、韓国企業のインド進出を積極的に勧めた。彼は「インドを偉大な国にしたい」と話した。モディ首相は２０１９年２月に訪韓した当時も韓国への思いを直接的に表した。「韓国の発展はインドにとってインスピレーションの源泉であり最も模範的なモデル」と述べた。

独立記念日の行事に出てきたモディ首相が１０万人の聴衆の前で「私は気が短い」という言葉を何度も繰り返しながら熱弁した姿を思い出す。インドを短期間でトップレベルの国にしたいという熱望が強く感じられた。

インドが急速に成長している。国連開発計画（ＵＮＰＤ）は今年インドの人口が中国を抜いて世界人口１位の大国になると予想した。経済力も急上昇している。国内総生産（ＧＤＰ）は２０１４年のモディ首相の執権以降、年平均６－７％成長している。２０２１年の８．５％に続いて昨年も８％台の成長が予想される。現在世界５位のＧＤＰ規模は２０３０年にはドイツ・日本を追い越して米国・中国に次ぐＧ３経済大国になると、モルガン・スタンレーなど世界的な金融機関が予想している。

インドの政治的安定と急速な経済成長の背景にはモディ首相という傑出した人物がいる。公用語だけで２２の言語を持つ連邦国家の首相が大統領より強力な政治的リーダーシップを発揮しているのはモディ首相を抜いて話すことはできない。彼に対する国民の支持は絶対的な信頼から生まれる。「腐敗に染まらない人、昼夜を問わず仕事をする人」というイメージだ。

◆モディ首相の支持率、７０％上回る

筆者が駐インド韓国大使として働きながら会ったインド政府の関係者は一斉に「モディ首相は仕事中毒」だと話す。真夜中や未明に電話がかかってくることも多かったと話した。ジャイシャンカル外相は３年間の外務首席次官時代を振り返りながら、家族もなく仕事ばかり考える首相を支えるのは厳しかったと吐露した。モディ首相は１８歳で結婚したが、結婚後にヒンドゥー哲学に心酔し、ヒマラヤで修行をして以降は独身で過ごしている。

モディ首相に対する批判的な見方もある。ヒンドゥー民族主義性向の権威主義指導者ということだ。しかし執権以降７０％以上の世論が支持する状況で、こうした批判はそれほど響かない。米世論調査会社モーニングコンサルトが２０２２年８月、世界２２の主要国指導者の支持率を調査した結果、モディ首相の支持率は７５％で１位だった。当分はモディ首相の時代が続くしかない。

インドはインド太平洋時代に戦略的価値が目を引く国際政治大国だ。インドはＡＳＥＡＮ、欧州連合（ＥＵ）、アフリカ、中東国家とも深い関係を持つ。アフリカ５３カ国、ＥＵ２７カ国、ＡＳＥＡＮ１０カ国をそれぞれ１カ所に集めて、１対１で首脳会談をする国だ。実際、アフリカ全体の人口（１３億５０００万人）はインドより少ない。ＡＳＥＡＮの人口はインドの半分にもならず、ＥＵの人口はインドの３分の１ほどだ。

現在アジアで中国を軍事的に牽制できる国もインドだけだ。インドは世界４位の軍事大国だ。２０２０年５月、インドと中国の間では北部カシミールヒマラヤ国境衝突があり、双方の数十人の軍人が死傷した。当時、双方は５万－６万人の軍隊を現場に集結させた。

【韓半島平和ウォッチ】韓国とインド、偉大な関係を築く時になった（２）