【コラム】国家的危機と言いながら緊張感も切迫さもない=韓国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.01.26 10:58
大統領の知人女性による国政介入スキャンダルで全国が混沌に陥った2016年末から2017年初めのことだ。毎日のように目を開ければ衝撃的なニュースがあふれた。影の実力者の登場と第三者わいろ、大統領本人の私生活をめぐる口にするのがはばかられるデマに至るまで。しかし社会学者である筆者を最も驚かせたニュースは、大統領が当然職委員長である少子高齢社会委員会の会議に4年半の間にわずか2回参加したという短い報道だった。
刺激的な他のニュースがあふれていた時期なので特別な注目を浴びることもなく過ぎていったが、長く少子高齢化を心配し対策を促してきた筆者としては相当な衝撃だった。「人口の崖」という言葉はわけもなく使うものではない。少子高齢化を放置すればある瞬間に崖のような穴が現れ、一旦そこにはまれば抜け出るのは不可能に近い。映画で自動車に乗って速いスピードで走っていたら目の前に突然崖が現れる場面を連想すれば大きく違わない。「韓国社会の運命を分ける根本的な問題に対し大統領がこれほど無関心だったのか」と驚かずにいられなかった。