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韓国政府、北が最も嫌うカード取り出す…金与正は「汚物」と表現

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.01.07 12:23
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韓国政府が9・19南北軍事合意の効力が停止する場合に境界地での対北朝鮮拡声器放送とビラ散布が可能かどうかの法的検討に着手した背景に関連し、北朝鮮が最も敏感な非軍事的措置「対北心理戦」を意図的に取り上げたという分析が出ている。ただ、実際に心理戦が再開される場合、小さな摩擦が軍事的衝突に広がらないよう「運用の妙」を生かすべきだという指摘が少なくない。

◆金与正の対南非難「素材」対北ビラ

 
9・19南北軍事合意と対北朝鮮ビラを結びつけた脅迫は、実際、文在寅(ムン・ジェイン)政権当時に北朝鮮側が先に取り出したカードだ。

2020年6月、北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)労働党副部長は脱北者団体の対北朝鮮ビラ散布を問題に挙げ、「南朝鮮当局が(対北朝鮮ビラ関連で)応分の措置を取らなければ、南北共同連絡事務所の閉鎖、南北軍事合意の破棄を覚悟すべき」と主張した。そして同月中旬、北朝鮮は南北連絡事務所を一方的に爆破した。ただ、9・19軍事合意に対する別途の後続措置は取らなかった。

その後も対北朝鮮ビラは金副部長の対南非難の素材になった。昨年8月、金副部長は対北朝鮮ビラを新型コロナ流入経路だとし、「強力な対南報復対応」を予告した。続いて同月の「大胆な構想」を非難する談話で、対北朝鮮ビラを「汚物」と呼びながら「激烈な憎悪と憤激を爆発させる」と主張した。

「言葉」にとどまっている対北朝鮮ビラに対する最近の北朝鮮の攻勢とは違い、過去には実際に軍事的衝突直前状況に拡大したこともある。

朴槿恵(パク・クネ)政権当時の2014年10月、北朝鮮が脱北者団体が飛ばした対北朝鮮ビラ風船に向けて実際に高射砲を発射し、韓国軍が対応射撃をしたのが代表的な事例だ。

◆「天安」爆沈当時も心理戦を宣言したが…

対北朝鮮拡声器はこれまで南北関係の浮沈に基づいて再開と中断を繰り返した。

2010年に韓国哨戒艦「天安」爆沈事件が発生すると、当時の李明博(イ・ミョンバク)政権は5・24措置の一環として「対北心理戦再開」を宣言し、対北朝鮮拡声器と大型電光掲示板を前方に再設置した。武力衝突に対する懸念などから実際の放送再開はすぐには行われなかったが、当時、北朝鮮は「心理戦手段に対する直接照準撃破射撃」を警告しながら激しく反応した。

実際の放送は2015年の木箱入り地雷挑発後に再開された。すると北朝鮮は砲撃挑発まで敢行して反発したが、地雷挑発が自らの犯行であることを否認した北朝鮮は結局、放送中断を条件に遺憾を表した。

しばらく中断していた拡声器放送は翌年1月の北朝鮮の4回目の核実験で半年ぶりに再開されたが、2018年4月の板門店(パンムンジョム)宣言の後続措置で拡声器はすべて非武装地帯(DMZ)から撤去された状態だ。にもかかわらず北朝鮮は昨年10月、朝鮮人民軍総参謀部の声明で突然「拡声器挑発に厳重に警告する」と主張した。

◆「禁止行為」法的制約は解けるのか

現在、対北朝鮮ビラと拡声器放送は共に法で禁止されている。文在寅政権で通過した対北朝鮮ビラ禁止法(南北関係発展法)24条は軍事境界線一帯での▼拡声器放送▼ビラ散布▼視覚媒介物(電光掲示板など)を禁止している。ただ、同法の次の条項の25条には「南北合意書の効力が停止した場合」は処罰しないとなっている。これを根拠に政府は9・19合意の効力が停止する場合、これまでの南北関係発展法に基づいて禁止された「南北合意書違反行為」が可能かなどに対する法的検討に着手した。

専門家らは政府が対北朝鮮心理戦を再開しても「対北圧力の程度を順次高めていく必要がある」と話す。北朝鮮は2020年12月に「反動文化思想排撃法」を制定し、南側映像物をはじめとする外部文物に接する場合、最大死刑に処するほど外部情報流入に強硬に対応している。こうした状況で対北朝鮮心理戦は北朝鮮の弱点をつく手段であるのは確かだが、度が過ぎれば北朝鮮の反発を招く「諸刃の剣」になりかねない。

全星勲(チョン・ソンフン)元統一研究院長はこの日、中央日報との電話で「9・19合意の効力停止、対北ビラ、拡声器の再開などを『韓国政府が検討している』というメッセージだけでも対北圧力の効果がかなりある」とし「対北圧力手段を一つずつ取り出しながら『これ以上は言いなりにならない』という信号を明確にするものの、危機が一度に増幅する状況は避けなければいけない」と述べた。

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    昨年4月、自由北韓運動連合は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の写真などが入った対北朝鮮ビラ100万枚を大型気球20個にぶら下げて北朝鮮に飛ばしたと明らかにした。 [自由北韓運動連合提供]
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