ロシアテレビショーのスター司会者であり、プーチン大統領がかつて仕えていた上官の娘であるクセニヤ・サプチャーク氏（４０）がロシアを離れて亡命したという外信報道が登場した。

２７日、ＡＰ通信によると、２６日に捜査官がモスクワ郊外にあるクセニヤ氏の邸宅を急襲した。ロシア当局はクセニヤ氏が彼女のメディアディレクターであるキリル・スカノフ氏とともにいわゆる「恐喝容疑」に関わったため逮捕令状が出たと明らかにした。これに先立ちスカノフ氏は恐喝容疑で逮捕された。

具体的な容疑内容は明らかにならない中で、ロシアの航空・先端技術企業であるロステックのトップであり、プーチン大統領の長年の同僚セルゲイ・チェメゾフ氏が恐喝の被害者だと主張しているとＡＰ通信は伝えた。これに関連してＡＰ通信は「クセニヤ氏は政財界の高位要人と広く交流があった」と説明した。

クセニヤ氏側はこれについて「話にもならないたわごと」とし「キリル・スカノフを逮捕したのは当局が独立言論を抑圧するため」と主張した。

現在クセニヤ氏はロシアから痕跡をなくしている。ＡＰ通信はタス通信とロシア国営通信ＲＩＡノーボスチを引用してクセニヤ氏がすでに航空便でロシアを脱出したと伝えた。クセニヤ氏はドバイとトルコ（テュルキエ）行きのチケットを購入して捜査当局に混乱を与えようとしたとみられる。クセニヤ氏はベラルーシを経てリトアニアに向かったが最終目的地は確認されていない。

クセニヤ・サプチャーク氏はプーチンの上官だったアナトーリ・サプチャーク元サンクトペテルブルク市場の娘だ。ＫＧＢ要員生活を清算したプーチン大統領はアナトーリ氏の首席補佐官として仕事をした。アナトーリ氏がプーチン大統領を政界に導いて目をかけた恩人だといえる。最初にサプチャーク一族はプーチン大統領と近かった。ＡＰ通信は「プーチンはクセニヤの代父として知られている」と報道した。

一部ではクセニヤ氏が反プーチン運動をしても父親がプーチンの政治的師匠であるおかげで危険を避けたが、今回の事態を契機にこれまでの『タブー』も壊れたという観測が出ている。

ロシア政治分析家であるセルゲイ・マルコフ氏は「今回の逮捕令状発行はロシアエリートには危険信号」としながら「プーチンを後援した人の娘を逮捕できるなら、もうこれ以上、気を使う人がいないということを意味する」と分析した。

クセニヤ氏は社交界の名士でありリアリティーテレビのスターとして有名だ。テレビ番組『挑戦！スーパーモデルロシア』の審査委員だったクセニヤ氏は自由奔放な私生活のためにロシア版パリス・ヒルトンと呼ばれた。

だが、２０１１年からロシアの独立放送局で司会者として活動して反プーチン活動家に出た。クセニヤ氏は２０１１年～２０１３年に開かれたプーチン反対デモに参加したことがある。

これに先立って２０１８年にはロシア大統領選挙に市民発議党所属で出馬して１．７％の得票率で４位を占めた。