【時論】人間尊厳性はどこかに行った規制一辺倒のコロナ防疫=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.01.10 14:10
昨年12月、ある療養病院でコホート隔離中だった母親の訃報に接した遺族がいた。臨終どころか葬儀も行うことができず、火葬された骨の粉だけを受け取った。「母の最後の道はとても孤独で寂しかったに違いない。なのに体を清めてあげることもできなかった。一言の謝罪もない政府に恨(ハン)が残る」と遺族は嗚咽した。
これは例外的な事例ではない。今月6日現在、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)発生以来2年間で発生した死亡者5887人の遺族のほとんどが同じようなことを経験した。死亡者は入院している間、家族の顔を見れないまま、その手を一度も握ることができないまま、心の中にしまっていた言葉さえ交わせないまま、臨終を迎えることになったケースがほとんどだ。病院の外で何もできずもどかしい思いで回復を待ちながらも訃報を聞くことになった遺族は絶望する。離れた場所から故人の顔さえ見ることができない。当局は一歩送れて「関連規定を見直す」と言ったが、それまでは「先に火葬、後に葬儀」という防疫規制によって、火葬された遺骨箱だけを受け取るのが現実だった。最小限の人間的品位と尊厳性も許さない、残忍な感染者葬儀指針だった。