２１日午後（現地時間）、ベルギーの首都ブリュッセル。市民約３万５０００人が「自由のために共に」と書かれたプラカードを持ち、「自由、自由、自由」と叫んだ。当局の新型コロナウイルス感染症（新型肺炎）防疫措置の再導入とワクチン接種証明書の制度化に対する抗議デモだった。序盤は平和だったデモは、数百人が警察を攻撃して自動車を壊したり、ゴミ箱に火をつけたことから、暴力的に変質した。

ＢＢＣなどによると、警察は暴力デモに催涙ガスと放水砲で対応した。この過程で警察３人、市民１人が負傷し、デモ隊の一部は逮捕されたとＡＰ通信が報じた。

欧州での新型コロナ制限措置の再導入に反対する暴力デモが拡散の兆しを見せている。先立って２０日、オーストリアの首都ウィーンで行われたデモには４万人が参加し、一部はたいまつを持って警察にビールの缶を投げた。１９日、オランダ・ロッテルダムでは数百人のデモ隊が車に火をつけ、警察に石を投げた。以前も欧州の一部の国ではロックダウンに反対するデモが行われたことがあるが、今回のデモは規模が大きく、暴力的な様相を見せている。

このようなデモが行われている国々は「ウィズ・コロナ」を施行して防疫制限を解除したが、最近制限を再導入したという共通点がある。短期間の自由を味わった後、再び日常が締め付けられると怒りが爆発したという分析が出ている。ソウル大学心理学科の郭錦珠（クァク・クムジュ）教授は中央日報に「市民は短期間でも新型コロナ時代以前のような自由を経験したため、一種の比較群ができた。日常回復への期待値が高まり、再ロックダウンや制限の再導入に対する反発心が大きく膨らんだものとみられる」と分析した。

今年夏から封鎖を徐々に緩和したベルギーは、新型コロナ感染者と入院患者数が減り、ワクチン接種率が高くなったことから、先月初めに店内マスク着用の義務の解除、クラブ営業許可など、複数の制限措置をさらに緩和した。しかし、防疫解除後に感染者が急増すると、ベルギー当局は先月２９日からほとんどの屋内でのマスク着用を再び義務化した。また、ワクチン接種証明書の適用を拡大し、在宅勤務も義務化した。今年８月、１０００人台まで減ったベルギーの一日の感染者は今月２０日、２万人台に上った。

オランダも同様のケースだ。９月２５日、マスク着用の義務化と社会的距離確保を含むほぼすべての制限を解除した。しかし、その後新型コロナが広がり続け、一日の感染者が９月には１０００人台だったが、最近３日平均２万人台を記録中だ。

これを受け、オランダは２日、室内マスク着用の義務を復活させたのに続き、１３日から３週間のロックダウン措置に入った。ロイター通信などによると、オランダは１３日から来月４日まで食堂・飲み屋などの運営を午後８時までに制限した。家庭内訪問客は４人までに制限し、在宅勤務を勧告した。

オーストリアも８月からウィズ・コロナに突入したが、感染者の急増により今月２２日から全国的な再ロックダウンを断行した。これにより、生活必需品の購入など一部の例外的状況を除いて外出が制限される。今回の措置はまず１０日間適用され、最長２０日間続く可能性がある。

オーストリアは当初、１５日からワクチン未接種者に限って外出を制限したが拡散傾向が収まらないため、全面封鎖の切り札を切った。オーストリアの一日の感染者は８月に１０００人台まで減少したが、最近３日平均１万５０００人台に急増した。

新型コロナワクチン接種に対する拒否感も依然としている。２０日、イタリアのミラノとローマではワクチン接種証明書の導入に反対するデモが、クロアチアとデンマークではワクチン接種義務化措置に反対するデモが行われた。

郭錦珠教授は「欧州諸国は互いに影響を与え合うため、『ウィズ・コロナ』政策を打ち出したものの防疫措置を再び強化する国やワクチン接種を義務化する国で暴力的な抗議デモが広がる可能性がある」と懸念した。