２０１９年７月１日、日本は半導体生産に必須の素材に対する韓国向け輸出を規制すると発表した。日本が問題にしたのは日帝強制徴用工関連の大法院（最高裁）判決（強制徴用被害者に対する戦犯企業の損害賠償責任認定）だった。日本はフォトレジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミドの３つの核心品目を規制した。

「半導体強国」の韓国は尻に火がついた。フォトレジストとフッ化ポリイミドなどは世界市場の９０％ほどを日本が占有していた。韓国の立場ではこの素材を輸入できなければ半導体生産に大きな打撃を受けるほかなかった。結局日本が規制を強行すると韓国政府は緊急閣僚会議を開くなどあたふたと対応に出たが、できることはなかった。日本が行動に出るのを目を開いて見守るほかなかった。当時文在寅（ムン・ジェイン）大統領は冒頭発言で「素材・部品の代替輸入先と在庫確保、基本技術の導入、国産化に向けた技術開発と工場の新増設、金融支援など企業の影響を最小化するためにできる支援を尽くしたい。さらには素材・部品産業の競争力を高めて二度と技術覇権に振り回されないだけでなく、製造業強国の地位をさらに高める契機にしたい」と決意した。

こうした決意から２年ほどが流れた。ところがいま韓国は「尿素水大乱」に包まれている。該当国が中国に変わり規制理由が変わっただけで大まかな流れは日本の輸出規制の時と似ている。中国は先月１１日に肥料供給への支障を理由に尿素の輸出前検査を義務化した。事実上の「輸出統制」だ。中国は石炭輸出国であるオーストラリアとの対立で石炭不足に苦しんでおり電力難が深刻化した。石炭から尿素を抽出するには大量の電力が使われるが、石炭も足りず電力も不足するため尿素生産は減るほかなかった。

問題は中国が世界最大の尿素生産国で、韓国は尿素水の原料となる産業用尿素の９７．６％を中国から調達しているという点だ。この時点でも韓国政府は手をこまねいていた。時間が過ぎて産業界が騒ぎ始め、尿素水を使うディーゼル車両にも影響が及ぶと韓国政府は「緊急」対応に出た。ところが今回も妙案はない。軍の輸送機まで動員して尿素水２万リットルをオーストラリアから持ってくるというが弥縫策にすぎないとの批判を受ける。いま韓国は物流網崩壊の危機に直面した。今回も文大統領は９日の閣議で「これまで先端技術領域中心の戦略物資に対して関心を傾けてきたが、生活と密接に関連した品目まで管理範囲を広げて輸入先多角化と技術自立、国内生産など多様な対策を講じてほしい」と注文した。

韓国は開放型通商国だ。経済理論のように自由に貿易をしながら比較優位にある商品は作って他の国に売り比較劣位にある製品は海外から持ってくる。自由貿易のおかげで韓国は貿易規模が世界８位の大国になった。１０月には過去最速の２９９日で貿易額１兆ドルを達成している。

だがこうした経済理論を適用することができない品目がある。食糧や石油などと、核心技術・素材などだ。特定国に依存して輸入などに影響が出れば国の経済がぐらつきかねないためだ。韓国はこうした影響に苦しむたびに輸入先多角化、素材・部品競争力確保などを叫んできたが、その時だけだった。統計がこれを見せる。昨年韓国の輸入の２３．３％を中国が占めた。米国の割合も１２．３％に達する。輸出も同様だ。中国が２５．９％、米国が１４．５％で割合は輸出全体の４０％を超える。核心素材の偏りはもっと深刻だ。韓国貿易協会によると、韓国が輸入する１万２５８６品目のうち３１．３％の３９４１品目が特定国に対する輸入依存度が８０％を超える。このうち中国の品目数は１８５０品目で４７％に達し、米国が５０３品目、日本が４３８品目の順だ。

今回の尿素水事態は中国が咳払いをしただけで韓国はインフルエンザにかかることになりかねないという事実を明確に見せる。「チャイナリスク」だ。韓国は外見は世界８位の貿易大国だが、中身は偏り現象のため微風にも揺らぐ弱い存在だ。米国政府は半導体とバッテリーが世界の主要産業の核心に浮び上がると必要量を確保するために主要会社に圧力をかけ米国内投資を増やさせている。市場が過度に片側に傾こうとする時にバランスを取るのが政府がすることだ。韓国政府はいままで何をしていたのか。統計が問いかける。

キム・チャンギュ／経済エディター