大型技術企業（ビックテック）と仮想通貨業界にとって新型コロナウイルス感染症（新型肺炎）は「チャンスの時期」だった。パンデミックの渦中にも米国の「スーパーリッチ」は財産を大きく膨らませ、ビックテックと仮想通貨の企業家がこの流れを主導した。

５日（現地時間）、米経済専門紙フォーブスが発表した米国長者番付「フォーブス４００」を調べるとこのような流れが目立った。先月３日、株価など資産評価額を基準としてトップ４００に入る富豪の総資産は４兆５０００億ドル（約５００兆円）だ。前年度３兆２０００億ドル（約３８００兆ウォン）から４０％も増えた。

このような富の増加を背景に長者番付のマジノ線も上昇した。過去３年間、長者番付の最小資産は２１億ドルだったが、今年は全般的な富の増加で２９億ドルまで高まった。フォーブスは「（今年は）億万長者にとって豊穣の時期」とし「特にビッグテックなどのハイテク株と仮想通貨が新型コロナ時代に栄えた」と評価した。

パンデミック「大当たり効果（ｂｏｎａｎｚａ　ｅｆｆｅｃｔ）」がビッグテックと仮想通貨業界に集中したのは長者番付にも現れた。１０位圏に入ったスーパーリッチのうち８人がビックテック企業創業者や最高経営責任者（ＣＥＯ）出身だった。ビックテック企業の株価が急騰して資産が大きく増えたのだ。

アマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏の純資産（２０１０億ドル）は昨年より２２０億ドル増えた。４年連続で１位を占めただけでなく、フォーブス長者番付で過去初めて個人資産が２０００億ドルを超えた人物として記録された。

テスラのイーロン・マスクＣＥＯが１９０５億ドルでジェフ・ベゾスの背後にピタリとついて２位に浮上した。年間順位ではない最新集計で「世界長者番付」に入ったマスク氏は「ベゾス氏に銀メダルを授ける」という嘲弄のメッセージを最近送ったりもした。

３位はフェイスブックのマーク・ザッカーバーグＣＥＯ（１３４５億ドル）が占めた。グーグル共同創業者であるラリー・ペイジ氏（５位・１２３０億ドル）とセルゲイ・ブリン氏（６位・１１８５億ドル）、オラクル創業者のラリー・エリソン氏（７位）、マイクロソフト（ＭＳ）前ＣＥＯのスティーブ・バルマー氏（９位）らも資産が増えた。

ビックテックの躍進の中で資産が減った例外もある。ＭＳ創業者のビル・ゲイツ氏だ。ビル・ゲイツ氏は今年繰り広げられた「世紀の離婚」の余波で純資産が１３４０億ドルに減って４位に順位を下げた。フォーブスはビル・ゲイツ氏が「トップ２」入りできなかったのは３０年余ぶりだと伝えた。

反面、ビル・ゲイツ氏との離婚過程で５７億ドル相当の株式を譲り受けたメリンダ・フレンチ・ゲイツ氏は推定資産６３億ドルで１５８位に入り初めて長者番付に含まれた。

仮想通貨企業家の躍進も目立つ。昨年の長者番付では１人しかいなかった仮想通貨スーパーリッチが今年は７人に増えた。今年４月に上場した米最大の仮想通貨取引所コインベースの共同創業者であるブライアン・アームストロング氏とフレッド・エサン氏が新たに入った。

仮想通貨取引所ＦＴＸの創業者であるサム・バンクマン・フリード氏は今年２９歳の最年少で長者番付入りを果たした。有名仮想通貨投資家である双子の兄弟、キャメロン・ウィンクルボス氏とタイラー・ウィンクルボス氏もこの流れに加勢した。米国株式取引アプリ「ロビンフット」の共同創業者バイジュ・バット氏も番付入りを果たした。ロビンフットは個人投資家が仮想通貨取引のために集まって売上が急上昇してきた。

新たに浮上する富豪がいれば沈む富豪もいる。不動産財閥ドナルド・トランプ前米国大統領が代表的だ。トランプ氏は２５年ぶりに初めて長者番付から名前を消した。トランプ氏は昨年純資産２５億ドルで３３９位に入ったが、今年は名簿から外れた。トランプ氏の資産が今年長者番付のマジノ線である２９億ドルに及ばなかったということだ。

フォーブスは「トランプ氏の資産の大部分を占める大都市ビルなどの価値が落ちた影響のため」としながら「大統領当選直後、連邦政府倫理官僚の利害相反の可能性に対する指摘を聞いて不動産資産を売り、ここで得た資金をファンドに再投資していたなら利益を出して番付に入っていたかもしれない」と指摘した。