【コラム】文大統領は民心離脱を防ぐ機会を逃した
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.03.22 15:03
農地受難の時代だ。お金のある人達は、農地をショッピングするように簡単に購入する。一区画を分割して数十人・数百人で分け合う。韓国土地住宅公社(LH)の従業員だけでなく、大統領の友人の配偶者、力のある長官の補佐官、与党国会議員の名前が雑多に登場する。力がなく、情報がなく、お金のない人達は絶望している。農民達は「投機屋が地価を上げてしまい、我々は農地を購入することができない世界になった」と絶叫する。
「欲の節制」という市民的倫理が消滅した空間には、「お前が死んで私が生きよう」という敵意ばかり拡大再生産されている。連帯のエートス(ethos)は消えて久しい。ついに人間と獸の境界があいまいになった。国が亡びる兆しが出ているという事実を誰もが知っている。
農地分割の醜い歴史は悠久だ。高麗(コリョ)末期には「一田多主」の狂風が吹いた。一尺の農地に7,8の権門勢家がへばりついて離れないヒルのように張り付いて、骨と皮ばかりになった農民の膏血を吸った。農民は生きるために盗賊になって流浪した。当代の経世家・鄭道伝(チョン・ドジョン)は「貧者は錐を刺す土地もない」と嘆いた。「全人口の10分の5~6は、戸籍から抜けた」(『朝鮮経国展』)という記録が傷痕として残った。「アノミーの極限状況」(『政治家 鄭道伝』チェ・サンヨン、パク・ホンギュ)だった。