サムスン電子を代表するスマートフォン「ギャラクシーＳ」の新しいシリーズがベールを脱いだ。サムスン電子は１１日（現地時間）に開幕した世界最大家電・情報技術（ＩＴ）見本市「ＣＥＳ２０２１」の最終日の１４日、「ギャラクシーＳ２１」を公開した。

ギャラクシーＳ２１シリーズは計３モデル、ギャラクシーＳ２１（６．２インチ）、Ｓ２１プラス（６．７インチ）、Ｓ２１ウルトラ（６．８インチ）。前の２つのモデルは前作のＳ２０と大きさが同じで、最高級仕様のＳ２１ウルトラはＳ２０ウルトラ（６．９インチ）より小さい。

何よりも「スマートフォンの頭脳」にあたるプロセッサ（ＡＰ）とカメラ性能が進化したのが特徴だ。ＡＰは販売する地域によってクアルコムのＳｎａｐｄｒａｇｏｎ８８８とサムスン電子のエクシノス２１００に分かれるが、韓国国内ではエクシノス２１００が搭載される。

エクシノス２１００は世界的な半導体設計会社（ファブレス）のＡＲＭがグラフィック処理装置（ＧＰＵ）に採択するほど優れた性能を誇る。以前のモデルよりグラフィック性能が４０％以上向上した。グラフィック処理速度が速くなれば多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲーム（ＭＭＯＲＰＧ）、拡張現実（ＡＲ）、バーチャルリアリティ（ＶＲ）などの利用に有利だ。人工知能（ＡＩ）演算速度も上がる。

◆画面端エッジの代わりに平面ディスプレー

カメラは背面に６４００万画素望遠カメラ、１２００万画素広角カメラ、１２００万画素超広角カメラが搭載される。前面には１０００万デュアルピクセルが適用される。前作のＳ２０と仕様は同じだが、人工知能（ＡＩ）機能が強化された。人物の写真などを撮影する際、スタジオで撮影したような多様な効果を出すことができる。

デザインはやや変わった。画面端が丸くカーブするエッジではなく平面ディスプレーで統一される。エッジは平面より工程が複雑で生産単価が高い。スマートフォンの画面が大きくなったことでエッジ部分に手が触れ、誤作動が起きるという不満もあった。

盧泰文（ノ・テムン）サムスン電子無線事業部社長は「ギャラクシーＳ２１シリーズは新しいデザイン、専門家級カメラ、強力な機能をすべて備え、使用者各自のスタイルと要求に多様な選択権を提供する」と紹介した。

サムスンは毎年２月に「アンパック（公開）」行事でギャラクシーＳシリーズを公開してきた。今年はこの時期を１カ月ほど操り上げた。事前予約は今月１５－２１日、発売日は２９日だ。ギャラクシーＳ２１がこのように「早期登板」する背景として、昨年１０月にアップルが発売した初の５ＧスマートフォンｉＰｈｏｎｅ１２の人気が挙げられる。ｉＰｈｏｎｅ１２（５Ｇ）の過去２カ月間の販売量はギャラクシー（５Ｇ）の昨年の全体販売量を超えた。新製品によるアップル牽制が必要な状況だ。また、米国の制裁で停滞する中国ファーウェイ（華為技術）の空席を狙ったという分析もある。

市場調査会社ストラテジーアナリティクスによると、サムスン電子の昨年の５Ｇフォン出荷量は約４１００万台で、スマートフォン市場シェア基準で３位（１５．１％）。１位は７９６０万台を出荷したファーウェイ（２９．２％）、２位はアップル（５２３０万台、１９．２％）だ。

◆価格でも勝負…前作より２５万ウォン安く

もう一つ注目されるのは価格だ。サムスン電子はギャラクシーＳ２１の出荷価格（基本型基準）を９９万９０００ウォン（約９万５０００円）に決めた。Ｓ２０の出荷価格（１２４万８０００ウォン）に比べ２４万９０００ウォン安い。ｉＰｈｏｎｅ１２と比較すると５万ウォンほど高い。

その代わり一部の仕様は「ダイエット」をした。パネルをＱＨＤ（約４６０万画素）からＦＨＤ＋（約２６０万画素）に、ＲＡＭは１２ＧＢから８ＧＢに変更した。またＳＤカードを挿入して保存容量を増やすことができるＳＤカードスロットがなくなった。パッケージに含まれていたイヤホンと充電器も抜けた。

市場調査会社カウンターポイントリサーチはギャラクシーＳ２１が今年末まで２８００万台ほど売れると分析した。前作のＳ２０（約２６００万台）に比べ７－８％ほど増えるという予測だ。カウンターポイントリサーチのイム・スジョン研究員は「ギャラクシーＳ２１を例年より１カ月以上も早い時期に発売した点、ファーウェイの空白がある点が販売にプラスに作用するだろう」と予想した。