【コラム】韓国の民主主義、まだまだだ(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.12.01 12:00
生涯にわたり西洋政治思想研究に没頭した崇実大学政治外交科のソ・ビョンフン教授が今月初め『民主主義-ミルとトクビル』という本を出版した。政治に直接参加して民主主義を深く考えた2人の同時代人であるフランスのレクシ・ド・トクビルと英国のジョン・スチュアート・ミルの著作と過去を細かく追跡し、民主主義の可能性と限界にメスを入れた力作だ。
19世紀初期の米国を直接視察したトクビルは米国の民主主義に賛辞を送りながらも誤る可能性に深い懸念を示した。多数が支配する民主主義は支配を受ける少数と反対勢力を国民の名で強迫し、法治を無力化し、民主独裁に変質する危険を持っているということだ。平等な民主主義社会で多数が力を持つのは当然だが、その多数が考えの異なる少数を抑圧できることが問題だ。多数の圧制の前で個人の自由と個別性が圧殺されるソフトな独裁、民主主義で包装した独裁に転落しかねない。文大統領が2位と550万票を超える差で当選し、民主党が圧倒的多数党であるのは事実だが、それをあたかも文大統領や政府与党の思い通りにすべてできる白紙小切手だと考えるのは多数の圧制に違いない。