米国大統領選挙でジョー・バイデン民主党候補の当選に関して、李仁栄（イ・イニョン）統一部長官は９日「（米国の政権交代期に）北朝鮮が慎重で賢明に、そして柔軟に転換の時期に対処することを期待する」と明らかにした。

李長官はこの日、就任１００日記者懇談会で米国大統領選挙の結果を「北東アジアと韓半島（朝鮮半島）の変曲点」と評価してこのように述べた。

李長官は「バイデン行政府が対北朝鮮政策を立てるまで一定の時間がかかるだろうし、北東アジア情勢の流動性と不確実性が生じ得るというという恐れがある」として「しかし、この時間を通じて南北間平和を実現できる機会の空間がさらに大きく開かれるかもしれない」とした。

李長官の言及は米行政府交代期に政府が北朝鮮と米国を積極的に説得する「促進者」の役割に集中するという趣旨に読まれる。

これを受け、統一部高位当局者は「２０００年米朝共同コミュニケと２０１８年シンガポール首脳会談は南北関係によって米朝が関係改善の過程に入ることができるという点を見せた事例」として「新しい米国行政府が発足すれば政府が推進している韓半島の平和プロセスを調整して協調する可能性がかなり大きい」と説明した。

この高位当局者は「バイデン氏は（副大統領時代）金大中（キム・デジュン）大統領が推進した太陽政策を強く支持し、金元大統領を心より尊敬した」として期待感を示した。

最近、政府が最も懸念するのは北朝鮮が過去米国の政権交代期の時のように軍事的挑発に出る可能性だ。北朝鮮は２０１３年と２０１７年それぞれ米国のオバマ第２期およびトランプ政府発足直後、核実験とミサイル試験発射など対米挑発に踏み切った。

高位当局者は「一部で北朝鮮の挑発の可能性を憂慮し、過去そのような事例があったのが事実」とし「（そのような挑発が）否定的な役割を果たしたことを北朝鮮は想起してほしい」と強調した。「過去の時期にあった挑発的な対応よりは平和的で柔軟な対応と対話を通じて米朝関係の改善に向かうことができるだろう」ともした。

この高位当局者の言及は北朝鮮が新しい米行政府の発足を前後にして身代金を高めるために大陸間弾道ミサイル（ＩＣＢＭ）試験発射など挑発に出る場合、文在寅政府の任期が１年５カ月残っている中で米朝関係の改善および非核化交渉が事実上水の泡になる恐れがあるということを前提にしている。

政府は６月韓国を「敵」に見なし、断絶を宣言した北朝鮮の態度変化も期待している。高位当局者は「北朝鮮が対話に出てくる過程で北朝鮮（指導部）の意志と情勢判断が重要だ。客観的な状況もあるだろうが、北朝鮮も対話と協力を図るしかない客観的な要因が増大している」と診断した。

これを受け、一部では新型コロナウイルス感染症（新型肺炎）の拡大、対北朝鮮制裁、自然災害など、いわゆる「三重苦」を体験している北朝鮮が新型肺炎のワクチンが開発されて韓国が支援に出る場合、対話に応じる可能性もあるという声も上がっている。