【コラム】北朝鮮「感染者ゼロ」ミステリー…新型コロナで南北協力は可能か(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.10.29 14:25
コロナは政治になった。最高指導者の一言で地域が封鎖される戒厳レベルの非常措置が取られ、「医学的監視対象者」は封建時代の疫病患者のように隔離される。正確な実態はベールに包まれている。国営宣伝メディアは「感染者ゼロ」という言葉を繰り返す。それが事実なら、地球上の極めて例外的な清浄国だ。それは金正恩(キム・ジョンウン)体制の北朝鮮だ。そこでは政治的な目的に基づいて防疫が変わる。マスクを着用しなければ「国を乱す破廉恥な罪人」になるが、体制レベルの労働党創建記念行事(10月10日)には数万人の群衆が「ノーマスク」で集まる。ミステリーのような北朝鮮の新型コロナ世界を見てみよう。
「コロナ監獄の中で暮らしている。地球上で最も過酷な封鎖措置だ。孤立という『刑罰』を受けている」。
金栄勲(キム・ヨンフン)高麗大医務副総長兼医療院長は北朝鮮の新型コロナ事態についてこのように診断した。核開発に体制のすべてのエネルギーを注いだ結果、社会的な不平等を招き、コロナに最も脆弱な構造になった北朝鮮は、致命的な危機を迎えているということだ。金副総長は統一保健医療学会(理事長キム・シンゴン)が8日に主催したセミナーで演説し、「ウイルスは社会的地位を分けないが、誰もが平等というわけではない」とし「基礎疾患がある患者のほか、不公平な社会や貧困層が脆弱になるしかない構造」と指摘した。北朝鮮の劣悪なコロナ防疫環境を指摘し、南北共同疾病管理本部の設立、感染病ホットラインの構築、DMZ(非武装地帯)地域での平和病院設立など南北間の協力を提案した。