【中央時評】北朝鮮の危機、金与正の手(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.06.24 11:05
人というのは最初から貧しい時よりも、状態が良くなって再び苦しくなる時に大きな苦痛を感じるものだ。2010年以後、鉱物輸出が急増して住民生活もかなり豊かになった。しかし、国際的な制裁で対中輸出が90%以上減ったうえにコロナ事態で輸入まで行き詰まり、生活苦が加重されている。ヤシの油の輸入が減ってシャンプー製造の時に入れることができないため髪の毛が絡んでボサボサになるのは小さな苦痛だ。深刻なのは食糧だ。今年初め、食糧密輸入すらなくなってコメ価格が上がったと思ったら、最近ではむしろ下落した。反面、トウモロコシ価格は上がった。これは所得が急減して住民たちがご飯の代わりにトウモロコシで食事をしていることを意味する。今、北朝鮮住民の不満は苦難の行軍の時に次ぐものかもしれない。
正恩氏にはもともとすべて計画があった。昨年年末まで米国が「新しい計算法」を持って出てこなければレッドラインを越える挑発をするかのように話していたが、結局行動に移すことはできなかった。北朝鮮の生命を左右する中国がどのような措置を取るかも気がかりだった。さらに正恩氏が再び狂人のように行動すれば、誰も彼を信頼しなくなり、非核化交渉はさらに難しくなるだろう。したがって経済には問題ないふりをしてなんとか持ちこたえ、2020年米国大統領選挙が終わってから本ゲームをするというのが最善の戦術だった。急減する外貨準備高が心配だったが、その時まではやっていけるだろうという判断を下した。しかし、コロナがこの計画をすべて押し流してしまった。