韓国の金錬鐵（キム・ヨンチョル）統一部長官は２６日、「国家安全保障会議（ＮＳＣ）常任委員会が『北朝鮮内部に特異動向がないことを確認した』と発表したのは、技術情報を含めて複雑な過程を経て情報評価をしたもの」としながら「韓国政府は特異動向がないと自信を持って言えるほどほど情報力を備えている」と明らかにした。

金長官はこの日、韓半島平和作り〔理事長・洪錫ヒョン（ホン・ソクヒョン）〕が開催した「韓中ビジョンフォーラム」に出席して「情報評価の過程と根拠についてはその特性上、公開できない」と説明した。

金長官の発言は、最近政府の異例ともいえる「特異動向なし」の確認発表にもかかわらず、金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長の身辺異常説が繰り返し拡大・再生産されないようにするためのものだと考えられる。

これに先立って青瓦台（チョンワデ、大統領府）は２３日、鄭義溶（チョン・ウィヨン）国家安保室長の主宰でＮＳＣ常任委員会を開き、北朝鮮内部に特異動向がないということを確認したと異例の発表を出した。韓国政府は金委員長が江原道元山（カンウォンド・ウォンサン）の特閣に滞在しながら近隣地域を現地指導していて北朝鮮メディアに登場しないだけで正常に統治しているとみている。

金長官はまた、２２日（現地時間）、ジョン・ハイトン米国合同参謀本部次長が国防総省の記者会見で「（金委員長が）依然として北朝鮮核武力と軍隊を完全に統制しているものと推定する」と言及したことを取り上げながら「そのような発言は思いつきでしているのではなく、それなりに情報評価をした後に根拠を持って述べているということを強調したい」と話した。

金長官は続いて「韓米間の情報判断に対しては大きな差はないと強調したい」と付け加えた。

金長官はこの日、具体的な技術情報の内容と水準については言及しなかった。韓米情報当局は、人工衛星や人的情報（ヒューミント）、通信など各種情報資産を稼動して北朝鮮の情報収集をしていて、今回もこのような情報資産を利用した可能性が高いとみられる。

金長官はこの日のフォーラムで一部マスコミの報道についても言及した。金長官は「〔平安北道（ピョンアンブクド）〕香山で金万有（キム・マンユ）病院の医師が執刀したという最初の報道があったが（北朝鮮内部の状況を考慮すれば）これはありえない内容」としながら「香山診療所は保健所で、手術できる施設もない。北朝鮮専門家が十分に説明したのに、このような話が出回るのは理解できない」と話した。金委員長が太陽節〔金日成（キム・イルソン）主席の生誕記念日〕に参拝しなかったことに関連しても「金委員長執権後では初めてのことではあるが、金正日（キム・ジョンイル）総書記の場合、１７年の執権期間のあいだ、太陽節に参拝したのは３回だけ」と説明した。

韓国政府はこの日一部から提起されている金委員長の施術または手術説に対しても「事実無根」という立場を初めて公開した。

与党高位級関係者はこの中央日報に対して「先週、金委員長の健康不安説と手術説、さらに重篤説が出回ったが、政府当局は事実ではないと判断を下したと承知している」と伝えた。

これに先立ち、米国ＣＮＮ放送など外信と一部の国内言論は、先週、「委員長が心血管手術を受けた」「外科手術後に重態に陥った」などと報じた。続いて先週末にはさらに「術後、植物人間になった」「すでに死亡している」などのうわさまで伝えられた。

この関係者は「金委員長が今月１５日、祖父である金日成主席の誕生日行事に姿を見せなかったことから（健康説が）疑われ始めた」とし「政府が各種情報手段を通じて判断すると、金委員長はどのような医学的措置も受けた形跡がなく、事実無根という結論を下した」と説明した。

金委員長が手術を受けたと伝えられた１２日以降、北朝鮮は地対艦ミサイル発射（１４日）や米国と関連した外務省の声明（１９日）を発表するなど、国内外的に通常の活動をしているが、このような情況とは別に韓米情報当局が客観的かつ技術的な証拠を確保しているとの意味に取れる。

これに関連して文正仁（ムン・ジョンイン）大統領統一外交安保特別補佐官は２６日（現地時間）、米ＦＯＸ（フォックス）ニュースとのインタビューで「金委員長が４月１３日から元山地域に滞在中だ」と明らかにした。文特別補佐官は「我が政府の立場ははっきりして確かだ。金委員長は生きていて元気（ａｌｉｖｅ　ａｎｄ　ｗｅｌｌ）というもの」としながら「（１３日以降）今まで、特異動向は感知されていない」と付け加えた。