「よく持ち堪えれば３カ月、その後は厳しいです」。

現代（ヒョンデ）自動車グループの２次協力会社であるＡ社は中央日報にこのように明らかにした。この会社は最近納品規模を半分近く減らした。輸出用自動車部品の割合が高い状況で現代自動車グループの輸出量が急減したためだ。

１次協力会社がＡ社から部品を受け取り組み立てた後に現代自動車グループに納品するが、この協力会社の生産量が減少しＡ社まで連鎖打撃を受けたのだ。Ａ社関係者は「売り上げ減少が４月水準で３カ月以上続けば借入金償還が厳しくなり手形決済が不可能になる。事実上不渡りに手続きを踏むことになる」と話した。

◇稼動中断→協力会社連鎖打撃

１３日自動車業界によると、新型コロナウイルス感染拡大により世界の自動車生産・販売ネットワークが稼動中断状態に入り、韓国国内の産業生態系が相次ぎ打撃を受けている。大手１次協力会社がまず打撃を受け、これはそのまま２次・３次協力会社につながる構造だ。

現代自動車グループの海外販売の割合は生産全体の８３％を占める。韓国での新型コロナウイルス感染拡大傾向が減り国内販売が増えているとはいうが、国内生産能力３２０万台は国内需要１５０万台の２倍を超える。海外販売が事実上中断された状態では生産しても販売する所がない格好だ。

現代自動車は蔚山（ウルサン）第５工場の「ツーソン」「ネクソ」の生産ラインが１３～１７日に稼動を中断し、起亜（キア）自動車も輸出量が多い京畿道光明市（キョンギド・クァンミョンシ）の所下里（ソハリ）第１・第２工場、光州（クァンジュ）第２工場などの休業を労組と協議中だ。生産が減れば関連部品の所要量も当然減る。ここに中国と起亜自動車スロバキア工場を除いた全海外生産施設も休業状態のため、これら工場に納品する韓国の協力会社の部品供給はすでにほとんど中断された状態だ。

◇タイヤ・鉄鋼業界直撃弾

自動車発の「春窮期」が始まり、鉄鋼やタイヤなど必須自動車部品メーカーの打撃も深刻化した。現代自動車に自動車用鋼板を供給する現代製鉄は最近の経営難に新型コロナウイルスまで重なり非常経営体制に突入した。

現代製鉄は自動車用鋼板の今年の生産目標をこれまでの７０％台に下げて再調整した。コストが多くかかる唐津（タンジン）製鉄所の電炉の稼動も減らす予定だ。ソウル・蚕院洞（チャムォンドン）の社屋と鋼管事業部の売却などで流動性を確保する方針だ。

ポスコもやはり世界の鉄鋼需要減少と市況悪化に合わせ減産するかを検討中だ。鉄鋼業界関係者は「中国の生産は正常化したが需要が減っており、低価格鉄鋼製品の韓国への流入の可能性が大きい。自動車産業の需要まで減少すれば韓国の鉄鋼メーカーの生産縮小は避けられないだろう」と話した。

タイヤ業界も引き締めに着手した。韓国タイヤ、クムホタイヤ、ネクセンタイヤのタイヤ３社は４月の１カ月間海外生産施設の稼動を中断した。韓国タイヤは米テネシー州、クムホタイヤは米ジョージア州、ネクセンはチェコにそれぞれ生産施設がある。

韓国国内の生産施設も在庫調整のため一部稼動を中断する。資産売却と流動化などで構造調整に乗り出したが、長く持ち堪えられる状況にはならない。韓国タイヤは上半期にソウル・駅三洞（ヨクサムドン）の社屋を賃貸に出し、京畿道板橋（キョンギド・パンギョ）に移転する予定だ。やはりコスト削減の目的が大きい。

◇自動車産業協会「３２兆ウォン供給を」

韓国自動車産業協会や自動車部品産業振興財団など６団体で構成された自動車産業連合会は９日、「需要の崖に対応するため政府が自動車業界に３２兆ウォン以上の流動性を供給してほしい」と要請した。流動性危機に陥りかねない部品メーカーと自動車を支援し、新型コロナウイルス問題が正常化するまで持ち堪える足がかりを作ってほしいという意味だ。

自動車産業協会のチョン・マンギ会長は中央日報の電話取材に対し、「前方・後方連関効果が大きい主力産業である自動車産業が危機に陥れば国家経済そのものが揺らぎかねない。初期には自営業者・小商工人支援が重要だが、その後は主力輸出業種に対するセーフティネットを用意することがもっと重要だ」と話した。

チョン会長は「需要の崖とサプライチェーンへの支障をきたしている自動車産業が持ち堪えてこそ輸出が増え、賃金・配当・税金など国家経済の『機関車』の役割をできる。政府も重要性を認知しているだけにわれわれの要請が受け入れられると期待する」と話した。