１９４０年から２００４年の間に登場した新種感染病はなんと３３５種類にのぼり、うち１９８０年以降に登場したものだけでも２００種類を超える（千丙哲高麗大医大教授の資料）。新種感染病の出現周期は徐々に短くなっていて、人類が生活方式を変えない限り今後さらに頻繁に登場すると考えられる。新型コロナ事態が終息するとしても、新種感染病への対応は今後、日常的で最も重要な国家の責務になるということだ。

今まで韓国は新型コロナに最も効果的に対応してきた国だ。２０２０年４月１日を基準に感染者が倍に増えるのにかかった時間は米国が５日、日本が１１日、世界平均が７日であるのに対し、韓国は２８日だった。死者数が倍に増えるのに米国は４日、日本は１３日、世界平均は６日だったが、韓国は１４日だ。それだけ韓国は新型コロナ拡大の速度を遅らせるのに成功した。しかし今後も成功するとは限らない。また、新型コロナ対応に成功したとしても今後さらに頻繁、深刻になる新種感染病危機にうまく対応できるという保証もない。したがって新型コロナで把握した事実を基盤に未来を準備する必要がある。

◆医療資源を酷使しない適正管理

最初に、新種感染病との戦いは時間との戦いだ。ワクチンと治療剤が開発されるまで、最大限に感染速度を遅らせて時間を稼ぐことが重要になる。犠牲を最小化し、同時に医療システムの崩壊を防がなければいけない。この点で保健当局と医療スタッフの対応は英雄的だった。

新型コロナの国内再生産指数（Ｒｅｐｒｏｄｕｃｔｉｏｎ　Ｎｕｍｂｅｒ、ＲＯ）は初期は７前後だったが、その後は着実に低下し、今では１以下に低下した状態だ。再生産指数が７である場合、１人の感染者が７人に、この７人がまた４９人に、４９人がさらに３４３人に感染させるということになる。最初の段階で感染者を捜し出せなければ終わりだ。医療スタッフの自らを犠牲にした積極的な検査が奇跡を呼んだ。短期的には現在可能な資源を酷使しない適正管理が、長期的には医療人材と施設に対する集中投資が求められる。

２つ目は、証拠基盤政策の重要性だ。ニューヨークタイムズは、カナダ・トロント大学の疫学専門家デビッド・フィスマン教授研究チームが保健当局の積極的介入時期によって結果がどう変わるかをシミュレーションした結果を先月１３日に報じた。結果はドラマチックだ。トランプ政権が初期にしたように放置する場合、感染者は１億人以上、一日の最多感染者は９４０万人、死者は１００万人となる。韓国のような積極的な介入を４月初めにすれば米国内の死者は約３０万人と予想される。米ホワイトハウスの新型コロナタスクフォースチームが先月３１日、「社会的距離が守られても米国で１０万－２４万人の死者が発生するだろう」と予測したのと似ている。

こうした証拠基盤政策は今回、韓国でも適用され、大きな力を発揮した。統計開発院のチョン・ヨンイル院長とフィスマン教授など国際共同研究陣は、すでに３月の１カ月間だけでも３回にわたり国内新型コロナ感染周期モデリングを進めた。その結果は、感染の拡大がいつごろ落ちつくのか、社会的距離など防疫対策の効果はどの程度か、再生産指数はいくらかを予測し、証拠基盤政策の展開に大きく寄与した。

３つ目、孤立か連帯かの選択だ。封鎖は効果をもたらす場合がある。例えば新型コロナ発生初期に武漢を封鎖したとすれば効果があったかもしれない。しかし中国は約２カ月間にわたり新型コロナの発生を隠し、そこに春節（中国の旧正月連休）まで重なって大勢の人々が武漢から移動した。封鎖がもたらすかもしれない効果は、すでに消えた後に新型コロナの発生が公式化され、その後の孤立という代償だけだ。

◆規制緩和など迅速な支援が必要

国内最高の感染病専門家の一人、キ・モラン国立がんセンター教授はインタビューで、封鎖よりも国際的協力を通じて、送る側が発熱の監視を、入ってくる側は症状を監視すべきだと提案した。

エルサレム大学歴史学のユバル・ハラリ教授も人類が分裂の道を進むのかグローバル連帯の道を進むかを選択しなければならず、後者を選択する場合、我々は新型コロナだけでなく２１世紀のすべての感染病に勝利できるという見方を示した。全世界が恐怖を感じて封鎖すれば、その経済的な代償は１９３０年代の大恐慌を上回ることになるだろう。韓国は貿易依存度が世界最高水準の国だ。封鎖が世界的基準になれば韓国は最も大きな打撃を受ける。

４つ目、危機の深淵に向かうほど機会要因を見つけて積極的に対応しなければいけない。米国はリーダーシップを喪失し、中国は体制の素顔を見せた。グローバルガバナンスの崩壊は民主主義の新しい地平を要求する。ちょうど韓国の防疫成果がグローバルスタンダードになりつつある。

何をすればよいのか。Ｖ字であろうとＵ字であろうと世界経済は結局は回復するはずだが、韓国の防疫・診断・治療能力が世界的な商品になるよう規制緩和などを迅速に支援しなければならない。

コロナ以降に世界で浮上する産業はすでに可視化している。第４次産業革命は速いペースで日常になり、ビッグテックは独占を加速化するはずだ。今どう対応するかによって新型コロナ以降の世界経済で韓国の位置が変わるだろう。

チャン・ドクジン／ソウル大社会学科教授／リセットコリア運営委員