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【コラム】文在寅・習近平会談が残した気がかり

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.01.02 09:15
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文在寅(ムン・ジェイン)大統領と習近平中国国家主席の先月23日の会談発表文をひやひやする気持ちで読んだ。「ひやひやする気持ち」になったのは2017年12月の訪中時の発言が思い出されたためだった。当時文大統領は冒頭発言で「習主席が民主的なリーダーシップを提示した」と持ち上げた。いくら外交修辞だとしても1人体制を固め「皇帝」と言われる習主席に「民主的」という修飾語を付けたのは常軌を逸した発言だった。翌日の北京大学での演説で中国を「高い峰」に比喩し、「韓国は小さい国」と話したのは「事大発言」としていまも話題に上る。「高い峰が周辺の峰と合わさりながらさらに高くなる」という発言は小中華を自任したことに近い。

案の定、今回も気軽にうなずきにくい表現があった。会談の最後にしたという「韓中は運命共同体であることを感じられる」という発言がそうだ。運命共同体は崇高な意味を込めた普通名詞だが、習近平に関連すれば意味が変わる。習主席が執権初期から主唱してきた運命共同体とは、中国が主導する「グローバルガバナンスの改革」や「中華民族の偉大な復興」と連係して刻まなければならない。国際社会はこれを21世紀版朝貢秩序の構築を意味する言葉と疑う。そのため習主席の前では極度に気を付けて使わなければならない言葉だ。文大統領がこの言葉を切り出した真意が「ミス」なのか「信念」なのか気になるところだ。

 
「香港・ウイグルは中国の内政」という発言は真相自体がまだミステリーだ。青瓦台(チョンワデ、大統領府)は習主席の説明を聞き、「しっかりと聞いた」と述べただけだと釈明した。人権弁護士出身の文大統領は「しっかりと聞いた」と話すのではなく、香港・ウイグルの人権侵害に対する懸念を明らかにすべきだった。人民日報はいまでも発表文全文のうち「韓国側は香港であれウイグルであれすべて中国の内政と認識する」という部分だけゴシック体で強調してホームページに掲載している。「われわれがなかった言葉を作り出したか」という式だ。改めて見てみると「韓国は重大な問題で中国の立場を理解する」という言葉も記されている。いったいどんな対話が行き来したのだろうか。

もうひとつの疑問は習近平訪韓問題だ。青瓦台報道官は「文大統領の招請に習主席が積極的に検討すると話した」とブリーフィングした。ところが会談当日の中国側発表文には一切の言及がなかった。すると青瓦台関係者が会談2日後に記者懇談会を自ら要望し、「習近平主席の来年上半期訪韓は確定的。方法と時期は調整中」と明らかにした。「習主席はTHAAD問題の適切な処理を要求したが文大統領は限韓令解除は話すら切り出さなかった」という形の批判が続くと、外交欠礼を押し切りまだ調整中の事案を漏らしたとみられる。

筆者が把握したところでは、中国が考える習近平訪韓時期は4月だ。習主席の日本国賓訪問が事実上確定した状態のためそれに合わせて韓国に来るということだ。習主席は「サクラの花が咲く時にお越しいただければ良いだろう」という安倍晋三首相の招請を快く受諾した状態だ。ところが韓国は3月の訪韓を希望するという。日本訪問の途で立ち寄る形式の「パッケージ歴訪」では物足りないので単独日程で韓国に来てほしいということだ。日本は日本で自国を国賓訪問するところに韓国を組み入れることに気が乗らないという。

ここにもうひとつの変数があるが、それが4月の総選挙だ。習主席が訪韓すれば限韓令解除などのプレゼントを持ってくる可能性がある。総選挙にオールインしている政府与党に大きな好材料に違いない。しかしその効果を最大化するには「パッケージ歴訪」より「単独訪韓」にする必要がある。問題はそれがやすやすと実現できることではないというところにある。3月には全国人民代表大会などがあり習主席の日程調整は容易でない。しかも世の中にタダはないものだ。ある消息筋が「中国が単独訪韓を受け入れる代わりに何らかの反対給付を要求するかもしれない」と話したのもいらぬ心配ではない。

サクラの花だけ花なのか。筆者も習主席がどうせソウルに来るなら東京に行く道で立ち寄るよりは単独訪韓することを望む。だが6年ぶりの訪韓に総選挙の計算法が割り込むのは困る。そうなると中国指導者の訪韓が持つ本質的な意味を差し置いて華麗なアピール的イベントに流れるリスクがある。お供え物によだれが出ても祭祀を台無しにしてはならない。「内政に失敗すれば選挙に負けるのにとどまるが、外交に失敗すればみんなに死をもたらす」と話したのはジョン・F・ケネディだった。選挙に負ければすべてがおしまいだとして国の心配より票の心配を先にする人たちには何の意味もない言葉に聞こえるだろうが。

イェ・ヨンジュン/論説委員

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