サムスンが中国で最後まで残していたスマートフォン工場の稼働を中断した。中国モバイル市場でファーウェイ（華為技術）、ＯＰＰＯ、Ｖｉｖｏ、シャオミなど現地メーカーがシェアを拡大する中、サムスン電子無線事業部が外注生産規模を本格的に増やすとみられる。

◆中国事業の不振が影響、ＯＤＭで効率化

サムスン電子によると、広東省恵州のスマートフォン工場の稼働が先月３０日に中断した。６月に恵州工場の生産職勤労者を相手に希望退職者を募集したのに続く後続の措置だ。恵州工場は韓中国交正常化の１９９２年から稼働し、２０１７年には年間約６３００万台の携帯電話を生産した。

サムスン電子は６月、希望退職者を募集し、ＴＣＬやＢＹＤなど現地企業を招請して退職者向けの採用説明会も開催した。

今後、サムスン電子は中国で独自生産するよりも製造業者開発生産（ＯＤＭ）方式を拡大する。アップルが自ら開発・設計したｉＰｈｏｎｅを台湾フォックスコンで委託生産するのが発注者ブランドによる生産（ＯＥＭ）方式なら、ＯＤＭは設計からデザイン、部品調達、組み立て・生産まですべてを下請け会社に委託する方式だ。

市場調査会社ＩＨＳマーケットによると、サムスンのスマートフォンＯＤＭ比率は昨年の３％から今年は８％、来年は２０％まで増える見込みだ。中国市場の特性に合う製品を速やかに供給するためだ。

サムスンのＯＤＭが年間スマートフォン販売量全体（約３億台）の３分の１（約１億台）まで増えるという見方もある。ベトナムでサムスンが生産するスマートフォンの大半もＯＤＭに変わる可能性があるという。

サムスン電子は昨年９月、サムスン電子のノ・テムン無線開発室長（当時副社長）ら役員陣がＷＩＮＴＥＣＨ（ウィンテック）を訪問し、中国国内向けスマートフォンＯＤＭについて協議した。ＷＩＮＴＥＣＨはスマートフォン年間生産９０００万台の中国最大ＯＤＭ専門会社。２カ月後の昨年１１月に中国市場に登場した３０万ウォン台の「ギャラクシーＡ６ｓ」は、ＷＩＮＴＥＣＨが開発－デザイン－生産まですべて引き受け、サムスンはギャラクシーブランドだけを付ける典型的なＯＤＭフォンとして販売された。

◆部品会社は打撃が避けられないが…

ＯＤＭの物量が増えるほど、中小企業が多い韓国部品会社は受注量が減少する。サムスン電子とともに海外に進出した会社であるほど、サムスンのＯＤＭ物量増加の影響が大きくなるしかない。

２０１５年のギャラクシーＳ５の不振以降、サムスン電子は枠にメタル素材を使用し、デザインの面で大きな変化を図って回復した。役員陣の多数が固執した着脱式バッテリーもメタル素材導入のため一体型に変更し、ギャラクシーＳ６は前作に比べてよく売れた。この過程で慶尚北道亀尾（クミ）などにあったプラスチック基盤の国内金型会社の大半が閉鎖した。