規制に阻まれ… 「ジョブズがん」治療のため海外に向かう韓国の患者
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.08.27 14:28
希少がんの一つである神経内分泌腫瘍患者のファンさん(32)は2カ月ごとにマレーシア行きの飛行機に乗る。放射性同位元素「ルテチウム」を使った治療を受けるためだ。ファンさんは2016年3月、すい臓に神経内分泌腫瘍ができたという診断を受けた。病状は深刻だったが韓国内では治療法がなかった。ネットで調べてルテチウム治療法に行き当たったが、韓国では治療を受ける方法がなくマレーシアに向かった。効果は目に見えて表れた。5回の治療ですい臓にあった大きさ10センチの腫瘍が4センチに小さくなった。その間にあった4~5センチの腫瘍のいくつかはほぼ消えた。30キログラム位まで減った体重も正常に戻った。翌月には会社に復職する。ファンさんは「1回行くと1000万ウォン(航空料含む)かかる。負担になるが他に方法がない」と話した。
ファンさんのようにマレーシア行きの遠征治療を受けた患者は60人余りになる。海外では検証済みの治療方法だが韓国では違法になる。ソウル大病院核医学科のカン・ゴンウク教授は「海外遠征治療を受けなければならないほど重度の神経内分泌腫瘍患者は1000人ほど」と説明した。神経内分泌腫瘍はアップル創業者の故スティーブ・ジョブズが患っていたがんだ。特定の部位に発生する他のがんとは違い、すい臓や胃、小腸、大腸などの神経内分泌細胞にがんができる。自覚症状がないため主に末期に発見されるケースが多い。ほとんどは抗がん剤の治療を受けるが効果はそれほど大きくない。
海外ではルテチウム治療方法が代案として使われている。放射線を放出する元素ルテチウムを体内に注入して腫瘍を除去する。がん細胞だけにあるソマトスタチンという受容体を探して攻撃する。ソウル大病院核医学科のチョン・ギジョン教授は「ルテチウム治療が神経内分泌腫瘍患者に効果があるということは、海外では数十年前から実際の治療事例と論文で立証されている」と説明した。ドイツ・オーストラリア・マレーシアなどで治療が行われている。