米国人がここ２週間、トランプ大統領のせいで感じためまいを他の国の人々に説明するのはとても大変だ。米司法省が特別検察官を任命し、トランプ大統領が就任後初の海外歴訪に出たことで、ようやく米国人たちはホワイトハウスを取り巻く問題から一息つくことができるようになった。

実際、米国人は理論的に可能な世の中で最悪の世の中を生きている。にもかかわらず、まだトランプが弾劾される可能性はそれほど高くない。もしかしたら彼が弾劾されることは決してないかもしれない。現在の時点で、トランプがロシア人たちと何かを露骨に共謀したという公的な証拠は乏しい。共和党支持層が強固なうえ共和党は上・下院どちらも掌握している。

政治的危機状況ではあるが、トランプ政権が誤りを自ら修正する可能性は非常に低い。トランプ大統領は複雑な米国立法過程のディテールに集中したり、一貫性のある論理を維持したりできる能力はない。そのためスキャンダルは今後も続くだろう。トランプは国政を散漫に運営するだろうし、ある事案を恣意的に曲解するだろう。就任後からこれまでと同じように、今後も前に出せるほどの政治功績はあまりないだろう。

一番最近のトランプ発危機は連邦捜査局（ＦＢＩ）のジェームズ・コミー局長の更迭から始まった。トランプ大統領はコミーを解雇すれば共和・民主両党は喜ぶだろうと踏んでいた。トランプが見たところ、共和党の立場でコミーはトランプの「ロシアコネクション」を暴いて大統領が国政運営に集中できないようにしていた人物だった。民主党の立場では、コミーはヒラリー・クリントンの電子メールをＦＢＩが調査するという発言でクリントン当選の可能性を無にした。民主党勢を含め、コミーを解雇しても心から残念に思う人は誰もいなさそうだった。

だが、トランプの読みは完全に外れた。誰か見てもトランプは自分を保護するために司法手続きを邪魔した。トランプはＦＢＩの調査に対して清算するものは清算して前進する機会を手に入れる代わりに意地を張って「魔女狩り」を云々した。そのうえ、トランプはロシア外交長官と大使に会った席で自分がコミーを更迭したことについて自慢した。米国メディアを排除し、ロシアメディアだけに公開された席だった。

ＦＢＩ局長在職時代、コミーは極めて微妙な位置にあった。今、彼は気楽に言いたいことを自由に話すことができる。コミーがトランプと私的に交わした対話はトランプ政権の実体を最も赤裸々に暴露した。特に、トランプはマイケル・フリン大統領補佐官（国家安全保障担当）に対する調査をやめるよう直接要求したことが明るみになった。


【グローバルウォッチ】トランプも朴前大統領のように弾劾されるのだろうか（２）