小池氏はキャスターとして積んだ名声を基に９２年に参議院選挙で当選し、その後衆議院を経て当選８回の中堅政治家に成長した。２００３年から２００５年までは小泉純一郎内閣で環境相を務めたのに続き、２００７年に安倍晋三内閣では日本史上初めて女性防衛相に任命された。勢いに乗る小池氏は翌年には自民党総裁選挙に立候補するなど政治的な野心も隠さなかった。しかし２０１２年の自民党総裁選挙で安倍首相ではなく石破茂幹事長を支持し小池氏は自民党の中心部から完全に押し出された。小池氏が７月の東京都知事選で自民党の公認を受けられず無所属で出馬した理由だ。

無所属で出馬した小池氏が自民党公認の増田寛也元総務相を破って当選し状況は反転した。世論の圧倒的支持を背にした小池氏は現在安倍首相の後に続く有力な次期首相候補に浮上している。政治評論家の鈴木哲夫氏は「東京都知事は一国の大統領に劣らない財源と権限を持ち、世界に自身の顔を知らせる東京五輪という機会も用意されている。小池氏は日本外交の『もうひとつの顔』としての地位を固めた後、国政に復帰して首相になることもすでに視野に入れているだろう」と分析した。

◇小池氏牽制のために早期総選挙検討も

問題は自民党との関係だ。日本の政界では安倍首相をはじめ自身を突き放した自民党重鎮との間にわだかまりが残っている小池氏が自民党を離れ新党を立ち上げる可能性が議論されている。小池氏は先月２８日に自身の名前を取った「小池百合子政経塾」を設立すると発表した。３０日に開設が予定されたこの政経塾はホームページを通じ「政治・経済・地方行政など、これまで身近になかった知識に触れ、様々な人に会える機会を提供する」と設立趣旨を明らかにした。

塾とは言っても募集対象を「（小池氏の）東京大改革の理念に賛同する人」「日本国籍を有する人」に限定しているため、一部では小池氏が新党設立に向け自分の組織を作り始めたのではないかとの疑惑も提起されている。小池氏が２０１１～２０１５年に大阪市長を務めた橋下徹元日本維新の会代表と連帯し新党設立を模索しているという見方も出ている。

こうした小池氏の動きに自民党の下村博文幹事長は９日の演説で「小池新党ができれば困る」と懸念を示した。自民党と連立与党の公明党は小池氏を牽制するため来年１月に衆議院解散と早期総選挙のカードを切ることも辞さない構えだ。早期総選挙で与党がまた圧勝する場合、小池氏の勢いを折り新党設立も先送りできるという計算からだ。安倍首相は「衆議院解散はまったく考えていない」と釘を指したが、自民党ナンバー２の二階俊博幹事長は１０日に記者らと会った席で「総選挙の風がすでに吹き始めている」として早期総選挙の意向をにじませるなど党内世論は解散側に傾いている。（中央ＳＵＮＤＡＹ第５０２号）


日本人첂視線引きつける「小池劇場」（１）

日本人の視線引きつける「小池劇場」（２）