「日本軍性奴隷」博物館、何をためらうのか(1)
ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2016.07.19 08:28
「旧日本軍慰安婦」被害者ユ・ヒナムさんが11日に他界した。これで政府に登録された生存者は40人に減った。慰安婦関連記録をユネスコ「世界の記憶」(世界記憶遺産)に登録してほしいという申請書は先月、8カ国・14の市民団体の共同名義で提出された。難しく大切なことだ。ところがこの大きな宿題を、我々は全国をさらう政界の葛藤とともによく忘れる。かつて英国のチャーチル首相が、そして韓国独立活動家の申采浩(シン・チェホ)先生が語った、「歴史を忘れた民族に未来はない」という修辞が面目を失う。慰安婦の悲劇を感性的深層から喚起した映画『鬼郷』もマスコミの表面から消えて久しい。ちょっと激しく言うと、これは韓国社会の後進的な現象を代弁する。
いくら政界が騒ぐとしても、その政治イシューが全国の世論を占領してしまう事態は非常に心配だ。それで誰もが後まわしにしてしまった慰安婦問題を取り上げたい。まず、この「慰安婦」という語彙から直さなければいけない。特に「従軍慰安婦」は日本帝国主義の視点で作られた用語だ。また、挺身隊は率先して先頭に立つという意味を持つため正しくない。最も適した名称は国際社会で使われている「日本軍性奴隷」(Japanese Military Sexual Slavery)だ。言葉は考えを表す窓だ。同じ言葉は繰り返して使えばその言葉が呪文効果を表したりもする。政府であれ国立国語院であれ、至急にこの用語の問題に対する匡正を図るのが正しい。