<世界革新企業家、未来50年を語る>(11)オリンパス社長…「再生医療の時代が開かれる」(上)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2015.10.09 16:03
電車の中。窓から見る外の風景に飽きた頃、東京大医大付属病院の医師、宇治達郎は向かい側に座っていた男性に話しかけた。相手はオリンパスのカメラ技術者、杉浦睦夫。1歳違いの2人の会話はすぐに弾んだ。30歳の血気盛んな青年医師の宇治は「カメラで人の腹の中をのぞくことはできないだろうか」と尋ねた。胃がんの発見が遅れて治療もできない患者が気の毒だったからだ。31歳の杉浦はひらめいた。2人はすぐに人の体内を撮影できる胃カメラの開発に入った。1949年の偶然の出会いは50年の世界初の胃カメラ開発につながった。世界の胃の内視鏡シェア70%という神話を築いた日本光学企業オリンパスの医療機器事業の始まりだった。
摩天楼が並ぶ東京の西新宿。ここにあるオリンパス本社で笹宏行オリンパス社長(60)に会った。笹社長は慎重な態度を維持しながらも断固たる声で、約1時間にわたり未来のメディカル市場について説明した。笹社長は「再生医療時代」の到来に自信を表した。50年の胃の内視鏡出現で健康診断を通じた胃がん早期発見が可能になったのが2010年代の我々の生活なら、未来には医療機器を通じた膝軟骨再生治療から心臓再生治療までが可能になるということだった。オリンパスは開腹手術をせずに腹腔鏡を通じて治療する方式を「低侵襲」と呼ぶ。傷をできるだけ減らしてがんの塊りを除去できる方式であり、専門家はこの技術が傷なく治療が可能な無侵襲の方向に進化すると見ている。