【コラム】黙々と働く人々の偉大なドラマ=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2014.11.20 16:48
10日に亡くなったという事実が遅れて世の中に知らされた日本の俳優、高倉健(1931~2014)は韓国の観客にとっても顔なじみだ。日本はもちろん、いくつかのハリウッド映画でもヤクザや刑事といった強いキャラクターを演じていち早く顔が知られていた彼だ。韓国では、日本の大衆文化開放が本格化した2000年に映画『鉄道員』が公開されて明確な印象を残した。浅田次郎の短編小説が原作のこの映画で、彼は生涯田舎駅を守ってきた鉄道員として登場する。黙々と自らすべきことをするのに生後2カ月になる娘が亡くなった時も数年後に妻が亡くなった時も、そのそばを見守ることができなかったバカ正直な男だ。仕事をしていた駅までがまもなく閉鎖される予定のこの孤独な男の人生を、映画は17年前に亡くなった娘が立派に育った姿で現れるファンタジーを通して慰める。仕事が全てという単調な人生で劇的な感動を見せたこの映画の情緒は、韓国でもかなり大きな反響を得た。
おそらく今の韓国の観客たち、特に若い世代にはこの映画の主人公が生涯1つの職場で仕事をしていたことからして一種のファンタジーとして見る可能性が大きい。それだけ安定した職を見つけることが、いや職を見つけること自体が容易ではない。最近政府が雇用補助指標に新しく出した失業率は10.1%にもなる。これまでの失業率とあまりにも格差が大きく議論がないわけではないが、全体失業率が3%台で集計された従来の統計でも20代の失業率は8~9%に達してもいた。たとえ就職しても正規職という保障はない。今年8月の最新の統計によれば非正規職は何と607万人、全体賃金労働者の32%に達する。事情がこれだから、学校を卒業してすぐに正規職として社会生活を始めるならば、それこそ家の慶事だ。