欧州市場は特異だ。欧州の消費者は既存の家具とよく似合うかを考える「カウントデプス」に敏感だ。サムスンが今回サムスンキッチンを作り“キッチン家具界のフェラーリ”という別称がある家具メーカーのアルクリネアにデザインを任せたのもこのためだ。ビルトインが一般化しているという点は家電技術の開発にも影響を及ぼす。与えられた空間内で容量を最大化するスペースマックス技術がますます重要になっている。コンプレッサーは小さいながらも高性能でなければならず、壁面は薄く断熱効果が優れていなければならないという話だ。最近では環境とエネルギー問題が話題になり節電機能が強調される。韓国市場と違い節電等級が「Ａ＋＋＋」か「Ａ＋＋」かによって消費者の選択は大きく変わる。

欧州市場には特に製品別に強者が並んでいる。冷蔵庫とオーブンはボッシュとシーメンス、洗濯機はミーレ、掃除機はエレクトロラックスが掌握している。各国ごとに強小企業のローカル企業もある。業界関係者は、「学校に例えれば学生１人で国語１等、数学１等、社会１等の学生と同時に対決する所が欧州市場だ」と話した。現在サムスン電子は欧州市場でテレビ部門は８年連続１位を占めているが、キッチン家電はフリースタンディング（ビルトインでなく独立的に使う製品）冷蔵庫部門だけで５年連続１位となっている。サムスン電子のイ・ソンウ欧州総括は、「ドイツの消費者は機能、フランスの消費者はデザインに敏感で、同じフランスでもパリ近郊と南部・北部の消費者の好みは微妙に異なる。各地域の文化と特性を兼ね備えられなければトップブランドになりにくいのが欧州だ」と話した。

サムスン電子はフェランディ校のシェフのキッチン用品使用経験を新製品開発に反映する計画だ。商品企画役員と現地のシェフがともに参加するワークショップを開き、シェフの要求事項、不便な点などを把握するという腹案だ。サムスン電子の尹富根（ユン・ブグン）ＣＥ部門社長は、「キッチンを最もよく知っている料理人の意見を反映した『シェフコレクション』を来年初めに欧州市場で発売する計画だ」と話した。

他の家電業界もプレミアムマーケティングにスピードを出している。ＬＧ電子は上半期に米国でプレミアム家電パッケージで構成したキッチン「ＬＧスタジオ」を２００店舗に拡大した。先月には英国の有名デザイナーのアシュレー・ウィリアムズとともに服の損傷がない衣類カバンを製作し販売したかと思えば「ロンドンファッションウィーク」では公式衣類管理業者を務め洗濯技術を披露した。南米に強い東部大宇電子は韓流を前面に出して市場攻略を強化している。東部大宇は８月にチリで国民的関心の中で開幕した「Ｋ－ＰＯＰコンテスト」を公式後援し、公演会場にプレミアム製品体験ゾーンを作った。水質が悪い南米市場をターゲットに冷蔵室のミネラルウォーターを冷凍室に送って氷にする新製品を出したほか、マチュピチュの紋様をあしらった洗濯機を出すなど地域特化製品でプレミアム市場攻略に力を入れている。




サムスンのプレミアム家電がＥＵに飛び込んだ理由（１）