【コラム】超人を待ちながら=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2014.10.15 13:45
家の本棚をざっと見ると『世界史を変えるドルの危機』『ドルの危機-世界経済の没落』、こんな本が目に入る。2000年代中盤に韓国内で紹介された翻訳書だが、2008年の米国発金融危機が起こった際に取材用にと買って読んだ記憶が新しい。本の題名のようにドルが、いや米国経済がすぐにでもどうにかなってしまうように記事を書いたりもした。そうやって、偉そうな顔をしていたスーパーパワーが結局は恥部を見せてしまったという快感も記事に込めていただろう。投資銀行リーマンブラザーズの破たんで金融市場がめちゃくちゃになったのはもちろん、実物経済も大きくさまよったので無理な記事でもなかった。その後、米国はどうなったか。当然の話だが記事は誤報だった。
今の米国ドルは、あまりにも強くて「スーパー」という修飾語までつけて「スーパードル」と呼ばれる。競争相手の欧州や日本があまりにも及ばないという反射利益もあるが、基本的に米国が体力を相当回復した。お金をむやみに放出した(量的緩和)おかげであろうが何だろうが、GM・フォードなどの自動車メーカーや金融危機の主犯のウォール街が復活した。海外に出て行った企業らは、次から次へと米国本土に回帰している。金融危機に胸をなで下ろしたバラク・オバマ政権が「リメーキング・アメリカ」という旗じるしのもと、リショアリング(海外進出企業の国内移転)を含めた製造業の競争力強化政策を展開したが、これが盛んになっているのだ。さらに中国など海外企業らが米国に途方もない規模で投資している。製造業の空洞化でため息をついていた以前の米国ではない。