【コラム】成長諦念論を警戒する=韓国(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2014.10.08 10:02
その過程でも一部の経済学者は成長諦念論を提起し続けた。その理論的なきっかけを提供した人がローレンス・サマーズ元米財務長官だ。サマーズ氏は昨年末の国際通貨基金(IMF)経済フォーラムで「世界経済が低成長・低物価・低金利・低雇用の構造的な長期停滞(secular stagnation)に陥ったのかもしれない」と述べた。景気低迷が構造的に固着化した状況が「新たな正常状態(New Normal)」ということだ。このような状況なら、人為的な成長政策は通用しないだけでなく、むしろ副作用をもたらすため、使わないほうがよいということだ。成長諦念論者はいっそのこと成長をあきらめ、分配と公平性に注力する「脱成長(degrowth)」政策をとるべきだと主張する。
昨今の成長諦念論もこれと軌を一にする。過去の高成長の公式だった大規模投資と低賃金労働の結合方式はもう通用せず、生産性の向上でこれを相殺できないため、現在の低成長に満足して、生活の質と幸福指数を高めるのに注力しようと主張する。ここには、低成長・低物価に加えて人口まで減少するため、今後は成長率を高めようという努力は効果がないという憂鬱な診断もある。しかし成長潜在力がすでに限界に達した先進国ならともかく、まだ先進国の敷居を越えていない韓国が成長をあきらめようという話は、あまりにも性急と思われる。まずは、従来の成長公式が通用しないから成長率は高められないという診断から見直す必要がある。従来の方式でだめなら新しい成長パラダイムを探せばよい。何よりも資本と労働以外に成長のもう一つの源泉である生産性の向上が不可能だと予断する理由はない。韓国で生産性向上の足かせとなっている最も大きな部門は零細なサービス業だ。規制改革と果敢な支援を通じて新しいサービス業を育てれば、新たな雇用を生み出し、生産性を高める余地はいくらでもある。