おかげで日本の財界で孫会長の独走体制が始まる見込みだ。これまではソフトバンクとユニクロが株式価値により富豪ランキング１位と２位の座をめぐり争っていた。ブルームバーグの富豪ランキングによると孫会長と柳井会長の順位はこの１年間だけで４～５回入れ替わるほどだった。アリババが日本の富の戦国時代に終止符を打つわけだ。

こうした変化は２０００年には予測できなかったことだ。その年は孫会長が設立登記をやっと終えたアリババに２０００万ドルを投資した時だ。ビジネスウィークは「孫会長の後光でアリババの馬雲会長は中国でスターに浮上した」と最近報道した。１４年という歳月が流れたいま、すでに状況は逆転した。孫会長が馬会長の恩恵を受けている。

そのためかアリババの経営透明性などが問題になるたびに孫会長は馬会長の守りに出た。

馬会長らアリババ経営陣は個人名義で会社を買い入れた。その資金が実際にはアリババの金庫から出たものだった。アリババが資金を貸し付ける方式だった。結局問題になった。ウォール街の投資家がＩＰＯを控えこれを問題にした。その際に孫会長が出て「中国の法規制約を避けるためには仕方ない選択だった」として擁護した。

ただ、アリババがいつまでも孫会長の「花見劫」（囲碁の形で、勝てば利益は大きいが負けても損害が軽微な形）ではないかもしれない。アリババの定款上、創業者と経営陣の権限は株主よりも大きい。内部者である彼らが過半数の理事を指名できるようになっている。ひとまず孫会長は気にしていない。さらにはウォール街がその問題を指摘すると、「問題はなく、驚くべき経営成果を出すのに良い」という話で支持した。英フィイナンシャルタイムズなどは最近専門家らの話として、「孫会長が筆頭株主の権限を行使できない状況が広がる可能性がある」と報道した。ある瞬間に孫会長が馬会長に足下をすくわれる恐れもあるという話だ。


アリババマジック…孫正義会長が一気に日本最高の富豪に（１）