「サ・ウ・ディ！」

ワシントン最大の文化公演会場であるケネディセンターで２３日夜、聞き慣れない乾杯の音頭が鳴り響いた。乾杯の音頭を叫んだのは安鴻俊（アン・ホンジュン）国会外交統一委員長。韓米同盟６０周年を祝う記念公演に先立ちレセプションが開かれる中だった。当初５分で予定されていた彼の祝辞は１５分と長引き、出席者の雑談はますます大きくなっていた。突然祝辞の最後に安委員長は予定になかった乾杯を提案した。グラスがない人は手だけ挙げるよう言った。そして「愛（サラン）」の「サ」、「友情（ウジョン）」の「ウ」、「死ぬほど（ティジドロク、慶尚道方言）」の「ディ」を意味する言葉とし「サウディ」と３回叫んだ。

ためらいながらまねる海外同胞、何のことかわからずきょろきょろする米国人が目に映った。すると通訳が素早く「愛、友情、そして永遠にを意味するスローガンだ」と瞬発力を発揮した。２０００人余りが招かれた行事会場には米国側からエネルギー省のモニーツ長官、ゴッテモラー国務次官代行、カントリーマン次官補、連邦議員らがいた。各国の外交使節も参加していた。韓国の政治家がワイングラスを持って「サウディ」と叫んだその瞬間、幸いにも韓国語で同音となるサウジアラビアの駐米大使はいなかったという。

安委員長の際どい外交行為はこれが終わりではなかった。２４日に安委員長は米国の連邦上院議員３人と相次いで会談した。人口３億２６００万人の米国で連邦上院議員は１００人にすぎない。各自が大統領候補と考えるポストだ。彼らが安委員長に会ったのは「国会外交通商委員長」という名前のポストが与える重みのためだ。

だが、肝心の安委員長はその重みをわからないようだった。２４日午後にワシントンを離れる時まで彼は上院議員らと撮った「証明写真」を含め１９件のツイートを飛ばした。その中には「米上院軍事委員会共和党責任者のインホフ幹事と会い戦時作戦権回収延期を期限を決めるより北朝鮮の挑発状態と韓国の対備態勢の目標を達成する時まで…」「上院外交委員会のカーディン東アジア太平洋小委員長と面談し韓日関係の歴史歪曲に関して共感し…」などの敏感な内容も入っていた。戦時作戦権交渉は韓米軍事当局者がその内容を伏せている事案だ。

今回のことだけでなくてもワシントンで顔がほてる時は少なくない。米国議会や政府要人を相手に韓国の政治家らが「証明写真」を撮るような“コリアンスタイル”を押しつける時だ。韓国政治が貿易規模基準で世界８位の経済とバランスが取れていないというのはきのうきょうの話ではない。だが、３選議員であり国会外交通商委員長の外交欠乏症が与えた衝撃はより大きかった。

ワシントン特派員パク・スンヒ