【時視各角】「第2の黄禹錫になりそうだが…」=韓国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2013.06.07 16:10
2006年1月12日、韓国プレスセンターの会見場にマスコミの触覚が傾いた。国宝級碩学として尊敬されていた黄禹錫(ファン・ウソク)博士が研究ねつ造疑惑を釈明する場だった。あちこちで黄博士の支持派と反支持派が集まってもみ合いが生じるほど殺伐とした雰囲気だった。やがて黄博士が口を開いた。ヒトクローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)を作製するのに結果的に成功せず、一部の結果はねつ造されたと認めた。「世界で初めて黄博士がXXXに成功した」という神話方程式の中毒になっていた人たちには衝撃的な告白だった。
その後、私たちの社会には「世界初」トラウマができた。「世界初?また嘘ではないのか」。検証・研究倫理の重要性を知ったのは黄禹錫事態が残した教訓だ。しかし疑われるのではという思いで新しい挑戦を避ける保身の根はさらに深まった。黄博士の研究に喝采を送っていた集団心理には「世界初」コンプレックスがあった。世界に出せるほどの科学技術はないが、その期待・熱望は非常に大きい韓国だ。黄禹錫スキャンダル後に登場した保身主義もこうした劣等感の別の姿なのかもしれない。