その時平井氏はストリンガー氏の代わりに前面に出て被害者に謝罪し事態収拾を進めた。当時ウォールストリートジャーナルは「（平井氏が前面に出たことは）ソニーの将来の主人公が誰なのかを示唆する」と報道した。

ロイターとブルームバーグは「平井氏選任はソニーが外国人経営者の実験を終わらせまた日本人を選択したもの」と報道した。

平井氏は改革の刀を取り出すものとみられる。平井氏はまず数年にわたり赤字を出しているＬＣＤとＬＥＤテレビ事業を構造調整する可能性が大きい。また遅々として進まないプレイステーション事業も変えると予想される。平井氏は早くからソニーの次世代リーダーに選ばれた。ストリンガー氏が積極的に支持した人物でもあった。ストリンガーは「多様なソニー事業を成功に導いた主人公」と評価した。そのはずみで今年に入り平井氏がＣＥＯになるという噂が広まっていた。

平井氏は１９８４年にソニーに入社した。ＣＢＳソニー（ソニーミュージックエンターテインメントの前））からスタートした。主にマーケティング部門で経験を積んだ。ソニーの日本人幹部は技術部門出身が多い。平井氏は９５年にソニーコンピューターエンターテインメントジャパンを経て９９年にソニーの米国ゲーム事業部を担当した。ハードウェア技術を重視する伝統的な「ソニーマン」とは違い、「ソニーのスティーブ・ジョブズ」と呼ばれるようになる。


ソニーが外国人経営実験終える…改革の刀抜くか（１）