【噴水台】マニュアル社会
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2011.09.21 16:13
「FM通りにしろ」という時のFMとは、軍隊用語Field Manual(野戦教範)の略字だ。 この言葉の元祖格はローマ軍。 共和政後期まで市民軍体制を維持したローマは、毎年変わる軍人を統率するため精巧な教範をまとめた。 戦争に敗れたとして処罰することはなかったが、マニュアルに従わない行動は徹底的に処罰した。 建国初期、羊飼いの群れにすぎなかったローマ人が強力な周辺民族を征服できた原動力だ。
現存する代表的マニュアル社会は日本だ。 大規模な地震など自然災害への対処方法を構築している。 企業に取り入れられたマニュアル風土は高度経済成長を率いた筆頭の功臣に挙げられる。 半面、盲信による官僚主義の弊害も少なくない。 今年の東日本大地震当時、世界各国から救護物資が入ったが、どう処理すればよいのかマニュアルがないため、迅速に伝えることができなかった。 海水をくみ上げて原子炉を冷却させることもマニュアルになく、時間がかかって災いを呼んだ。
マニュアル執着は人間を機械と誤判させる。 チョン・ソクスンの小説『チョルス使用説明書』は一つの電子製品マニュアルとともに例示されるチョルスの人生を風刺している。 扇風機・冷蔵庫のように扱われる人間に創造的な生活が可能であるはずがない。 東日本大地震当時、東京ディズニーのアルバイトは臨機応変に子どもを慰め、‘守護天使’対応で話題になった。 2日に一回の割合で災害防止教育を受けたアルバイトが胸に刻んだ言葉は「マニュアルに執着するな」だった。